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 2009年2月の独想録


 2月3日  未来の流れを変えるにはまず心を変える
 深刻な不況ということで、失業者が40万人だとか、とにかくものすごい数の人たちが職を失うことになるといわれる。お金も地位も権力もコネもなにもなく、生活ができるかどうかくらいの限界ぎりぎりの人が、このような状況から起死回生するには、どうすればいいのだろうか?
 なにもない人が立ち上がるために必要なのは、なんといってもまず、心を変えることだ。
 暗く悲観的な心では、未来の流れを変えることはできない。こんなときだからこそ、明るく楽観的で自信と確信に満ちた心が必要なのだ。そのような心をまずは確立しなければならない。
 もちろん、苦しい状況を考えれば、そのような気持ちになど、なれないというのは理解できる。しかし、未来というものは、心が作り上げていくものなのだ。だから、最初は本気になれなくてもいいから、とにかく明るい未来をイメージし、それを繰り返して、未来は明るいのだと思いこんでしまうことだ。
 いわば、ある意味で自分をだましてしまうのだ。未来は明るいのだと、潜在意識をだましてしまうのである。運命(未来)というものは、潜在意識が築いていく。潜在意識は命令されたことをその通り実行していく。そうして、実際に、その通りの未来が形成されていくことになる。
 そもそも、深刻な不況といっても、実体はただお金が循環しなくなっただけで、実質的になにかが失われたわけではない。循環しなくなった原因は人々が不安を抱くからで、要するに幽霊のようなものに振り回されているだけなのだ。
 不況だから不安になるのは事実だが、不安だから不況になるともいえるのである。西洋では“悪魔のことを話すと悪魔が来る”などという。
 なので、早くこの不況から脱出するためにも、みんなで不安になるのをやめにしようではないか。
 悲観的な話や暗い話はいっさいやめ、明るい顔をして、どんなことでもいいから明るい話、希望をもてるような話を、会社のなかで、電車のなかで、家庭のなかで、宴会の席でしようではないか。
 そんな明るい空気は必ず伝染して拡大していき、「なんだかこれから世の中がよくなるみたいだよ」などという噂話が広がっていく(いい意味でのデマを飛ばすのだ!)。すると人々の心が明るくなって、「それじゃあ、欲しかったものを買ってみるかな」という気になっていくだろう。そうして不況なんて、案外と簡単に脱出できてしまうかもしれないのである。
 不況から脱すれば、人間には欲望があるから、今まで買いたくても我慢していたものを反動でたくさん買うようになり、今までの損失も取り戻すことができる。だから、先行きを楽しみにしながら、明るい気持ちで過ごしていればいいのだ。
 それに、世の中のことは別にしても、明るい顔をして明るい話をする人は、幸運に恵まれるようになる。これが法則というものだ。
 そして、人に対して親切にしよう。電車のなかでお年寄りが立っていたら席を譲ろう。道に迷っている人がいたら声をかけてあげよう。そのような親切をされた人はもちろん、気持ちが明るくなって辛い状況でも負けない気持ちも出てくるかもしれないし、そのような親切をはたで目撃していた人もまた、気持ちが爽やかになり、「世の中も捨てたもんじゃないな。自分も頑張ろう」という気持ちにもなってくるものだ。
 このようなことは小さなことかもしれないが、小さなことというのが、実は大きな結果をもたらすものなのだ。たとえはよくないが、秋葉原の大量殺人事件だって、犯人のまわりにもう少しでも理解者や優しい言葉をかけてあげる人がいたら、あのようなことは起きなかったのかもしれないのである。
 恐怖は捨てよう。そして、明るいビジョンを未来に抱いて生きよう。心は必ずこのイメージを実現するように働くようになる。今こそ、そのような心の変革をするよいチャンスだ。そのうち不況を脱して世の中の景気がよくなったら、この不況の時期に鍛えた「楽観的に未来を考えられる心」が、その威力を発揮することになるだろう。そうなったら、この不況の時期というのは、非常に幸運だったといえることにもなるだろう。修行僧は冬の寒い時期に滝を浴びたりするが、私たちもまた、揺るぎない明るい想念を抱くことができる心を養うために、不況という冷たい滝を浴びて、いま、尊い修行をさせていただいているのだと考えよう。

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