![]() ![]() ![]() ![]() | ふろく![]() ![]() ![]() ![]() |
1999年 ![]() |
風を見る石 |
砂の蟹座 |
天の滴 |
風の治療師 |
名もない日 |
露地裏 |
天使の角度 |
夏の川 |
人体望遠鏡 |
木星の月 |
ユーラシアの眠り |
あとがき
四階の我が家のベランダをふと眺めると、パンジーの鉢にテニスボールのような白い塊があることに気がついた。近づいて手に取ると、ずっしり重い。なんとそれは卵だった。
一体、誰が置いたのか?
一体、誰が産みおとしたのか?
一体、誰が運び忘れたのか?
思いがけない天からの贈り物に、笑いがこみ上げてきたが、卵の落し主に思いを馳せながら、そっともとの場所に戻しておいた。
翌日、卵は消えていた。
ベランダで産み落とされた生命の行方が、いつまでも気になって仕方がなかった。
それにしても、鳥が産み忘れた卵を再び取りにやってくる、ということがあるのだろうか。
ここにまた、詩の卵を一つ置くことにした。
1999年9月9日
虹の島、タートルベイにて
田村奈津子
![]() ![]() ![]() ![]() | ふろく![]() ![]() ![]() ![]() |