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 2007年4月の独想録


 4月24日  脳の老化防止
 ある本を読んでいたら、人は35歳を過ぎると「歳をとった」と実感し、45歳でまた再びガタンと歳をとったと感じるらしい。35歳の場合、とりわけ肉体労働をしている人がそう訴えるのをしばしば耳にしたことがある。しかし45歳になると、肉体の衰えだけでなく、視力の衰えだとか、さらには記憶力など脳の衰えを覚えてくるとされる。
 私の場合をいえば、35歳を過ぎても特に衰えなどは感じなかった。むしろ20代よりも元気になっているような感じさえした。しかし45歳を過ぎたときには、疲れがなかなかとれないとか、無理がきかないというようになって、やはり歳をとったなと感じるようになった。
 むかしは執筆にしても、長時間集中して文章を書くことができたのだが、少し精神を集中すると疲れてしまうようになったので、休み休み書くというようになってきた。記憶力については何ともいえない。物の名前や人の名前が思い出せないということは増えてきたように思うけれど、英語の単語などは比較的よく覚えられる。
 とにかく、むかしと比べると、身体も頭も疲れやすくなってスタミナがない。これではいけないと思い、スポーツセンターの会員になって、ランニングマシンの上を走ったりバーベルを持ちあげたり、サプリメントなどにも気を遣って服用するようになった。
 それで、多少はいいように思うけれども、残念ながら私が期待するほどの効果はない。
 だが、歳をとっても若々しく元気だという人もいれば、逆に、まだ若いのに元気がないという人もいる。いったいこの違いは何なのだろう?
 私は長い間、その回答を求めてきた。そして最近になって、おそらくその回答ともいうべきものを発見した。
 人から、元気やスタミナを奪い、早く老けさせてしまう最大の原因は何か?
 それはおそらく、「取り越し苦労」である。
 人は取り越し苦労や心配によって精力を浪費させ、エネルギーを奪われ、老け込んでしまうのだ。「悪いことが起こったらどうしよう」などと考え、想像してわざわざ自らを不安に陥れる。実際に悪いことが起こる前から悪いことを考えて怖れるのだ。しかし、実際に悪い出来事が現実になることはめったになく、ほとんどは何事もなくうまくいく。心配しただけ損なのだ。不安や取り越し苦労はとてつもなく心身のエネルギーを奪い、スタミナを奪い、早く疲れさせる。
 私自身、自分ではそれほど取り越し苦労をしているとは思っていなかったが、よくよく自分を見つめると、かなり小さなことで取り越し苦労をしたり、将来に悲観的な予想を抱いている癖があることがわかった。どうも人間というものは、物事を悲観的に考えるのを好む習性があるのかもしれない。
 というわけで、私は取り越し苦労をしないことが、今後しばらく自分に課した「最重要課題」となった。取り越し苦労といったものは、いわば性格的なもので、それはよくないからやめようと思っても、ついつい癖になっているから、さっぱりと止められるものではないかもしれないが、それでもやめようと堅く決意すると、けっこうやめられるものである。
 歳を取ったから疲れやすくなるというよりも、歳をとると、いろいろなことを悲観的に考える癖がついてしまい、取り越し苦労が増えてくるために疲れやすくなる、こう考えた方がいいのではないだろうか?

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