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カルシウム (Ca)
2013.06.03 (Mon) 20:45
【性質・事実】
体内のカルシウムの量は他のどのミネラルよりも多く、殆どは骨と歯の中にある。
99%は骨、歯に硬組織として形成し、残り1%は血中カルシウムとして存在する。
体重の1.5〜2%、総体内ミネラルの約40%。
骨中カルシウムの20%は、毎年新しく吸収されたカルシウムと入れ替わっている。
体内に存在するカルシウムとリンの比率は2:1に保たれなくてはならない。
カルシウムの吸収には、十分な量のビタミンDが必要である。
骨中に含まれるミネラルは、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、
リン酸マグネシウムであり、大部分はリン酸カルシウムが占めている。
【所要量】
600mg
【上限】
2,500mg
※所要量、上限は成人男性を基準にしています。
※
その他の年齢・性別に関しては、こちらの
ビタミン摂取基準
を参照(PDF)
【働き】
丈夫な骨と歯を維持する。
骨折と骨密度の減少リスクを減らす。
大腸ガンのリスクを下げる。
心筋、筋収縮の機能に関与する。
心臓の規則的な鼓動を保つ。
外傷時の血液の凝固作用がある。
浸透圧の保持をする。
不眠症の治療に役立つ。
神経系の伝達を助ける。
神経の興奮を抑制する。
血圧、LDLを下げる。
補酵素として機能する。
【ヒトにおける有効性の高い症状・効果】
胃酸過多。(天然の制酸剤として働く)
骨粗鬆症。
【供給源】
乳製品、大豆、豆腐、いわし、鮭、ケール、ブロッコリー
【欠乏症】
くる病、骨軟化症、骨粗鬆症、貧血
【毒性・過剰症】
5,000mg/dayの摂取はカルシウム過剰血症を招くリスクがある。
多量に摂りすぎると便秘、肝臓結石、尿路感染のリスクを高める。
【サプリメント】
錠剤にしたものではクエン酸カルシウムが最も身体に適している。
植物性由来のグルコン酸カルシウム、乳製品由来の乳酸カルシウムは
鉛、アルミニウムの含有量が少なく吸収も良い。
マグネシウムが一緒に入っているものが望ましい。比率は1:1か2:1(Ca:Mg)
【他の栄養素との関係】
リンと協働して健康な骨と歯をつくる。
マグネシウムと協働して心臓、血管の健康を保つ。
マグネシウムは骨からカルシウムの脱灰、沈着の役割を担う。
体内の鉄の代謝を助ける。
アミノ酸はカルシウムの吸収を助けるが、多量のタンパク質を摂取する食生活は、
腎臓からのカルシウムの排泄を促す体質になる。
【吸収】
カルシウムは小腸のあらゆる部位で吸収されるが、主に小腸下部で行われる。
一般に成人では摂取量の30%もしくはそれより少ない量が吸収されるが、
10%にも満たない人もいれば、60%も吸収できる人もいる。
吸収のピークは食事のおよそ3〜4時間後である。
吸収のメカニズム
◆管腔内のカルシウム濃度が低い場合
副甲状腺ホルモンとビタミンDが調整役として働き、
十二指腸と空腸上部で吸収が起きる。
その際、カルシウム濃度が十分でなければ骨からも溶出され、
腎臓からの排泄量も減らすよう調整する。
◆管腔内のカルシウム濃度が十分な場合
カルシトニンがメッセンジャーとなり骨と腎臓から
余分なカルシウムを溶出されないよう調整されて、
小腸全体で吸収される。
ラクトース(乳糖)はカルシウム吸収を促進する。
ラクトース不耐症の人でもおそらく問題ない。
カルシウムはイオンの形で存在する場合にしか吸収されない。
また、消化管内で蓚酸やフィチン酸(フィチン酸塩)と結合すると蓚酸カルシウム、
フィチン酸カルシウムを形成し、カルシウムは吸収されなくなる。
遊離脂肪酸と結合しても同様である。
一般にカルシウムの要求度が高く、摂取量が少ないほど吸収率は上がる。
また、運動量が増えて骨密度が高くなるとカルシウム吸収が高まる。
カルシウムは酸性媒質の中で効率よく吸収されるので、
摂取タイミングは食後か食事中が良い。
これはカルシウムのサプリメントにも当てはまる。
食物繊維がカルシウム吸収率を低下させる場合もあるが、
30g/dayの繊維を摂取している人に当てはまる。
これより少ない場合はあまり影響しない。
【排泄】
食事よりも薬物治療がカルシウムの排泄量を増やす可能性がある。
加齢によってカルシウム吸収率が下がるのは、胃酸分泌欠如と
カルシウム摂取量の低下に対するビタミンDの適応反応が鈍くなることが
主な要因と考えられる。
通常、摂取されたカルシウムの50%あまりが毎日尿に排泄され、
また同僚が腸にも排泄され、糞便と一緒になる。
尿中のカルシウム濃度は、カルシウム摂取量と相関関係にある。
1日数杯の珈琲を常飲すると、尿からのカルシウム損失が増加するが、
いくつかの研究結果は一致していない。
皮膚からのカルシウム損失は、皮膚剥離と発汗で生じる。
発汗により失われるカルシウムの量は15mg/dayである。
発汗を伴う激しい運動をすると、この損失量は増加する。
【血清カルシウム】
総血清カルシウム濃度は8.8〜10.8mg/dlの範囲内に維持される。
血清カルシウムは3種類の要素から成り立つ。
1. イオン化カルシウム(47.6%)
2. リン酸塩、クエン酸塩、その他複合体(6.4%)
3. アルブミンをはじめとするタンパク結合カルシウム(46%)
タンパク質と結合したカルシウムの70〜90%は血清アルブミンと結合している。
血清中のイオン化カルシウム濃度を調節するのは主に副甲状腺で分泌される
PTHだが、カルシトニン、ビタミンD、エストロゲンなどもその役を務める。
【注意事項】
多量の脂肪、蓚酸(チョコ、ほうれん草などに含まれている)は、
カルシウムの適切な吸収を妨げる。
ソフトドリンクを多量に飲む習慣は、リンの多量摂取により
体内のカルシウム量が激減する。
大量摂取は鉄、亜鉛、マンガンなど他のミネラルの吸収を阻害する。
カルシウム剤は、食事と一緒に摂るべきなのに対して、
他のミネラルは空腹時に摂取するべきである。
カルシウム剤のみの多量摂取は避けるべきである。
マグネシウムとの併用が望ましい。
【備考・補足事項】
血液中でのリンとの割合は1:1が望ましい。
食生活の中でリンの比率が高いと、腸内でリン酸カルシウムを形成し吸収されない。
月経痛がカルシウムの摂取量増加により、和らぐことが多い。
カルシウムの錠剤を日常的に摂取し、なおかつ尿路感染を起こしやすい人は
クランベリージュースと一緒に摂ると良い。
空腹時にカルシウムの錠剤を飲む場合は、クエン酸カルシウムが勧められる。
就寝前に摂取すると安眠できる。
酢やレモンに含まれるクエン酸がカルシウムの吸収率を高める。
牛乳は含まれている乳糖、リジン、アルギニンの作用のため、カルシウム吸収率が高い。
参考文献
「食品・栄養・食事療法事典」L.Kathleen 他48名 著 /日本語監修:木村修一・香川靖雄 (産調出版)
「健康・栄養 -知っておきたい基礎知識-」 独立行政法人 国立健康・栄養研究所 (第一出版)
「健康・栄誉食品事典(2006−2007 改訂新版)」 奥田拓道 監修 (東洋医学舎)
「最新ミネラル読本」 丸元淑生/丸元康生 著 (新潮文庫)
「ビタミンサバイバル」 牧瀬忠廣 著 (ビジネス社)
「ビタミンバイブル」 アールミンデル 著, 丸元淑生 訳 (小学館)
「ビタミン・ミネラル革命」 山田豊史 著 (総合法令)
「酸化ストレスから身体を守る」 嵯峨井勝 著 (岩波書店)
「豊かさの栄養学」 丸元淑生 (新潮文庫)
「サプリメント・健康食品の効き目と安全性」 田中平三 著 (同文書院)
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