| 外法帖放遊記 |
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第拾六話「異端」 |
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悪夢。 牢から引きずり出され、悲惨な拷問を受ける女性。 「こいつは、どこで死ぬかな……」 悪魔に例えると悪魔に怒られそうな、責め手の言葉。 何かを吐かせるためではない――ただ苦しめ、殺すことが目的なのだ。 「前の奴よりは保ってくれると、楽しいんですがね」 否、それは拷問でさえない。単なる、淫靡な殺人道楽だ。 目の前で、それを見せつけられる、夢の主。 もちろん、自分も、「それ」を受けるのを待つ、牢の中なのだ――。 「う……うわああああ!」 真夜中の鬼哭村に響き渡る、魂をえぐるような、恐ろしい悲鳴。 思わず飛び起きる遼次郎。 「おや、起こされちまったかい。アレは……御神槌(みかづち)の声だよ。 心配いらないよ、いつものことさ。いつもの――ね」 悲しげに目を伏せる桔梗。 ★ その悲鳴の主、御神槌と引き合わされる遼次郎。 子供たちを相手に、神の教えを説く御神槌。 優しげな笑顔で神の愛を語るその姿からは、とてもあんな悲鳴をあげるなど想像できない。 桔梗にうながされ、説法の後片付けを手伝う遼次郎。 それで心証を良くしたのか、 自分の信じる神の存在と、悲惨な現実とのギャップに苦しんでいる―― ――と、いうような悩み事を打ち明けられる。 おいおい、懺悔を聞くのはそっちの役目じゃないのかい(笑)? だが、相談を受けるのはなぜだか慣れっこな遼次郎は、黙って聞く。 特に、「汝の隣人を愛せよ」――敵でさえも、憎しみではなく、愛をもって対するべし―― というくだりが、トゲになって、心に深々と刺さっているようだ。 まあ、幕府への復讐を目的とする「鬼道衆」に身を投じている者としては、当然か。 「それ」ができないから、ここにいるわけだし。 のち、九角屋敷にて、その御神槌や、今回は嵐王も交えて、「今回の任務」。 その前に、嵐王から「式神のもと」を貰う。 これで、「こっち」でも式神システムが使えるわけだ。 ――シナリオ消化に追われて、使ってないけど。 で、本題。 「神隠し」の真実――その背後に居ると思われる「井上重久」との関係――を暴き、 必要とあれば、これを処断せよ! 命を受け、江戸に向かう一行。思い詰めた様子の御神槌を気にした、嵐王もいっしょ。 とりあえず二手に分かれ、九桐、御神槌の班に同行。 だって、御神槌シナリオなんだし。それにカレ、なんだかほっとけないし。 と、小石川療養所にて、偉そうなでぶ侍が、 「お偉方が『遊び』に行くのに、『おもちゃ』が足りんとは、なにごとだ――」 などと、療養所の留守居にむかって、吠えている。 そして、浪人風の連中に、「おもちゃ」の調達を命ずる。 その隠語の意味がわかろうハズのない遼次郎だが、なぜだかふつふつと怒りが……。 ないはずの記憶の中で、ヤツが最低の「隣人」であると、覚えているからだ。 この「隣人」はちょっと、愛せないよなぁ。 が、その「怒りのオーラ」を感じ取られてしまったのか、浪人どもがこちらにやってきた。 なんのことはない、御神槌を見咎めたらしい。 そーいえば神父姿だもんな。考えてみりゃ江戸じゃ目立つ。 もめた末、戦闘に――。 勝てるワケのない雑魚ども。 御神槌の詰問に、大した情報を持っていないことが明らかになる。 でぶ侍の隠語の意味も、神隠しの真実も聞き出せず。 本命の「人攫い」チームは、どうやら桔梗と澳継クンのチームが出会ったらしい。 こっちも弱かった――と、澳継クンは言っていたが。 翌日――。 嵐王は、「大蛇の呪い」を使った咒方で、江戸の撹乱を。 他の一行は、引き続き井上重久がらみの調査を、仰せつかる。 集合に来ない御神槌を気にして見に行ってみると――、 大蛇の呪いを放ち、虐げられた切支丹の恨みを晴らせと、嵐王にそそのかされている。 なんだか、いつもと別人のように邪悪な雰囲気の嵐王。 すると、御神槌の持つ<珠>が、妖しく光を放つ。 その<珠>は、かつて切支丹狩りに捕まり、あわやという彼を救い出してくれた、 「御屋方様」に貰ったものだという。 違うぞ、御神槌! お前は、騙されている。勘違いしている。 だが、今の遼次郎に、ソレを口にできるだけの確固たる記憶はなく、 ただ漠然とした不安を胸に、「出撃の時間」を告げることしかできなかった――。 小石川へ。 井上重久のコトを訊いてみたが、まあ当然まともな答は返って来ない。 と、前回のようなことがあってはややこしいからと、 御神槌が人目を避けて隠れていた木陰にて、 療養所の「代理の先生」に、なにやら脅しを入れてる浪人風のオトコどもが。 それは、昨日のあの連中のように見えた。 その繋がりを探るべく、「代理の先生」に詰め寄る一行。 すると、かつての「切支丹狩り」の真相―― 幕府の方針を隠れ蓑に、単に改宗を求めるものではなく、 人を責めさいなみ、殺す「愉悦」に狂ったヤツらがいた、 それはまさに、「切支丹狩り」などではなく、「人間狩り」であった―― という話をし始める。 御神槌の悲鳴の源は、この時のもののようだ。 そして、その「人間狩り」を、重久が現代に復活させた――。 それも、「死んでも不審に思われず、訴え出ることも叶わない」という弱みにつけこみ、 「入院している重病人」を狙って! かつてはまだしも、「幕府禁制の切支丹」を責める、というきっかけがあり、 ヒトがヒトを責め殺す(「改宗」しようとした者は少なかったようだし)ことの罪悪感を、 快感にすりかえることで正気を賄っていたのが、暴走したのだろうが、 この行為には、なんの言い訳もきかない。 弱い立場の人間を「おもちゃ」にして、最低最悪の「遊び」をしているだけに過ぎない。 しかも、重久に脅されてとはいえ、 自分の患者を、その「おもちゃ」として差し出したという、「代理の先生」。 これを聞いた遼次郎と澳継は、「それが、医者のすることかよ!」 と、気色ばんで食ってかかるが、 「そんなことをしてもどうにもならない」と、放り出す桔梗。 あまりにもひどい話に、神を信ずる心さえ失いつつある御神槌は、 遼次郎の説得にも耳を貸さず、嵐王に聞いたらしい「大蛇の呪いの屋敷」へ――。 先走り、「大蛇の呪い」を放った御神槌に、少々苦り顔の天戒。 確かに、江戸の町は混乱したし、気脈も乱れた。 しかし、多くの病人が出て、苦しんだのだ。死者も少なくなかったらしい。 それは、天戒の望むところではなかった。 ともあれ、改めて井上重久討伐の命を下す天戒。 今回は天戒自らも共に出撃。 御神槌は重久討伐、他は囚われた病人たちを救出に向かうことに。 しかし、御神槌の様子に危惧を覚えた遼次郎は、彼を追う。 「なぜ私を追ってきたのです? 私は、怒りに任せて呪いを放ち、 多くの人を苦しめるのに手を貸した男ですよ? こんな私に、何が残っていると――」 御神槌の、深い悲しみを湛えた自嘲の言葉に、遼次郎は答える。 「愛」 ――人を憎むことしかできなくなったわけではあるまい。 鬼哭村では、子供たちに、心の平安を大切に思うことを説いていたではないか。 人を愛し、未来を創る心が、おまえにはまだ、あるはずだ――。 目を伏せ、しばしの沈黙ののち。 「……ありがとう。私は、一人で大丈夫です。心は、完全に決まりましたから――」 顔を上げ、きっぱりと言った御神槌の瞳から、惑いの影は消えていた。 ――なるほど、これなら大丈夫だろう。 御神槌と別れ、先行している天戒たちに合流する。 「振り向いて、お前がいないと気付いた時は、ひどく驚いたぞ――」 と、言われてしまったが。 だが、御神槌の「ケア」にたいする礼の言葉もいただけた。 「俺には言えないことだから――」 と。 ともあれ、捕らわれ人がいるらしい地下牢に下りるや―― 「百鬼(なきり)妖堂」なる、一つ目の仮面を被った「用心棒」に出迎えられる。 「陰」編の敵って、なんでこんな変人が多いんだ(笑)? 鬼哭村襲撃隊の隊長といい……。 ともあれ、これが、牢番の浪人たち=仲間はぶち殺すは、ゴーモンはしたがるは、 不愉快極まりないシロモノ。 アキレる澳継クンとともに、戦闘に――。 敗れたナキリ、なんと式神の裸写紙に。 桔梗の解説によれば、 「呪禁(じゅごん)」という、陰陽道に似つつも、より即物的な呪術があるそうで、 ソレによって作られた「式」だったらしい。 檻を開き、逃げ出す捕らわれ人たちのドサクサに紛れて、脱出。御神槌も合流。 ――結局、御神槌は、重久を殺せなかった……いや、殺さなかったようだ。 天戒の命に反したことにもなるし、うつむく御神槌。 そんな彼に、「愛」を入力する遼次郎。 「どうしてあなたは、そんな……神の御言葉のようなことばかり言うのです?」 泣かんばかりの表情の御神槌。 さらに、天戒も、叱責するどころか、彼の無事を喜ぶのみ。 そして―― 自分の弱さと……しかし、たくさんの人の「愛」に支えられていること。 今回のことで、それを思い知らされたという御神槌。 少し、吹っ切れたようだ。 「呪い」を使って犯してしまった「罪」は心に刺さっているようだが、 それを償うには、より多くの人を救うしかない。 それも、わかっている。 「そのために――共に、戦わせてください。あなたと――」 このあと、彼が夜中にあの「悲鳴」を上げることは、 めっきり少なくなったようである――。 うわ、今回、長っ! そして、今回は御神槌にべったり(笑)。 なんだかカレ、前作での葵姫を思い出して、ほっとけないんですよね。 こんなふうに、苦しみ、惑い、助けを求めてきょろきょろして、 でも誰もいないので、必死に歩き出そうとするけれど、 真っ暗闇の中で立ちすくむしかなく、悲鳴すらあげられない―― そんなヒトを見ると、助けてあげたくなる。 「さあ、道はこっちだよ。正しいという保証はできないけど、いっしょに行こう!」 ――てなふうに。 ただ、そこで「ダメ、歩けない」とダダをこねられると、 とたんに見捨てるんですが……。 その点、葵姫も御神槌も、一生懸命いっしょに歩こうとしてくれる。 こんなんに、弱い自分。 |
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