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                 ホメオパシーの謎を解く(パート11)

 パート11 

 レメディの薬効の謎を解く未知のエネルギー「OD」
 ハーネマンのように、レメディがもつ薬効は人知はるか及ばない「霊の力」なのだとみなし、神秘は神秘のままにしておく方がいいのかもしれないが、人間の知性の限界はまだ先であると信じ、もう少し探求の努力を続けてみたいと思う。
 そこで紹介したいのが、ドイツのバロン・フォン・ライヘンバッハ(1788-1869)が発見した未知のエネルギー「OD(オド)」だ。ライヘンバッハはパラフィンとクレオソートを発見した科学者としても知られている。
 さて、ODエネルギーは、森羅万象、至るところに存在するとして、ライヘンバッハはその特徴をさまざまな視点から記述している。たとえば、男女で極性が逆であること、色や音に反応し、天候によっても違いがあるという。
 その中で、ODは震盪することで強さを増すという報告がなされている。
「私は、流体の摩擦によってODが生じるかどうか興味があったので調べてみたところ、ガラス容器にアルコール、エーテルあるいはテレピン油を入れて栓をし、暗闇で振ると、内容物ともども光を発する。また、瓶に水を入れ左手に持って振ると明るく生温かくなるが、水の動揺がおさまると数秒で発光しなくなり、ふたたびもとのように冷たくなる」
ライヘンバッハは、いわゆる「流水」も震盪と同じ状態であるとして、流れる水は静止した水よりODが強いとしている。そのため、水脈などをダウジングによって感知できるとし、また、水脈が通っている土地に家を建てた場合は、水脈から放射されるODの影響を受けることになるともいっている。
 では、ODエネルギーは、なぜ震盪することでエネルギーが高くなるのだろうか?
 ライヘンバッハは、ODにはそういう性質があると報告しているだけで、理由までは言及していない。実験によれば、ただの水を震盪してもOD光が見られたということだから、先に考察したイオンどうしのぶつかり合いによる電磁波ではなさそうだ。ただし、イオンと同じようにODにも、反発し合う二つの極性があるという。
「人間の身体は右から左へと分極しており、それはちょうど水晶が長軸方向の両極の間で分極していたことと、磁石が青い光線とオレンジ光線の間で分極しているのと同じように、人体そのものも、これまで論じてきた他のものと同じく、2種のODパワー(青とオレンジ)を発していると結論づけることができるのである。……このように、有機的な生命体のすべては光り輝いており、豊かなODを流出しているのだ」
 イオンではないが、イオンと似たようなメカニズムで、反対の極性をもつODどうしが震盪によってぶつかり合い、ODエネルギーを増幅させている可能性があるわけだ。

 ODとレメディとの関係
 ライヘンバッハによれば、人一倍ODに敏感な人がいるという。そういう人は、
・窓を開けて欲しいとせがむ
・右あるいは左の、どちらかを下にした方が眠りやすいという傾向がある
・人に触られるのに極端に敏感である
 といった特徴をもっているという。
 なぜ窓を開けて欲しいとせがむのかというと、次のような理由からである。
「部屋の換気を行わないと、部屋の空気はすぐに、体表から放出されたり、あるいは肺から呼気として吐き出されるODによって、飽和状態あるいは過飽和状態になる。そこで敏感者は、すでにODに帯磁した空気を吸入せざるを得ないし、吸い込んだ空気を大急ぎで吐き出すことになる」
 他にも、OD敏感者は次のような特徴があるという。
「安眠できない人、眠りながら寝具をいつもはねのける人、夢をみながら喋ったり起きだす人、偏頭痛の発作で苦しんでいる人、一過性の胃痛で苦しんでいる多くの人々、いらいらしやすく悩んでいる人、大勢のなかにいることが苦痛でたまらない人、ほとんど友人を持ちたがらないかまったくの孤独癖の人」
 ライヘンバッハが記述している以上の特徴は、実はホメオパスが患者にレメディを処方する際の、重要な参考項目でもあるのだ。ホメオパスは患者にこう尋ねるのである。
「外気を吸うと症状が緩和されることがありますか? 安眠できますか? どんな夢を見ますか? うなされたり、寝言はいいますか? 頭痛がするなら、それは偏頭痛ですか、それとも、どの部分が痛みますか? イライラしますか? 人込みの中にいるのが苦痛ではないですか? 独りになりたいですか?……」
 ホメオパスは、レメディの事典「マテリア・メディカ」を参照しながら、患者にもっともふさわしいレメディを選択する。「マテリア・メディカ」には、あるレメディに適合する人についての細かい記述が、こんな調子で書かれているのだ。
 このレメディがふさわしい人は……
・右を向いて寝る(あるいは、左を向いて寝る)
・締め切った部屋に我慢できず窓を開けたがる
・人に触られるのを嫌う
・独りになりたがる
・イライラする
・偏頭痛がする
・症状は身体の左側に出る
 まさに、ライヘンバッハのいうODエネルギーの特性を思わせる記述なのだ。
 ODは、温かく赤い色を発光する陽性と、涼しく青い色を発光する陰性が出会うと親和して人を癒すが、同じ極性どうしは反発して気分が悪くなるという。
「OD的に逆の極性をもっているなら、身体のどの部分であっても、手を当てるか動かしてみるかするだけで被験者の生命活動は賦活され、少しの時間を経るだけで、最奥部に位置する器官までもが深く影響されるのである。だから、局所的衰弱が生起している部位すらも、ODによって新しい生命力が喚起されたり機能が高められたりするのだ」
 結局、ODというのは何なのか?
 特徴を総合的に判断するならば、中国医学のいう「気」、インド哲学で説かれる「プラーナ」、18世紀の医師メスメルのいう「生物磁気」、フロイト派の心理学者W・ライヒの「オルゴン」と、同じエネルギーを表現したものと考えられる。万物を貫いて遍満しているが、とりわけ生命体から強く放射されているエネルギー、要するに、それは「生命エネルギー」のことなのだ。
 
 肉体は霊魂を鋳型にして作られた!?
 現時点でひとつの仮説的結論を出すならば、ホメオパシーのレメディが、薬効成分が含まれていないのに薬効を発揮する理由は、物質的な次元では電磁気的に検出されることがあるとしても、本質的には電磁気を越えたエネルギーが関与しているからである。
 それは生命エネルギーである。生命エネルギーは生命体から発せられている他、物質を震盪することで一時的に発電される。このときに生じたエネルギーによって、原料がもつ薬効情報が、希釈作業によって注がれた水の中に記録されていくと考えられるのだ。
 したがって、レメディとは、情報を記録した媒体であり、それ自体では、いわゆる「薬価」(薬がもつ効き目)というものはない。レメディを服用して生体の生命エネルギーを受けたときに、自らの情報を発信し、生体をそのバイブレーションで振動させて癒すのである。その意味では、レメディは服用してはじめて薬になるのであり、単独ではただの不活性な乳糖の塊でしかない。
 また、レメディの「振動数」は、ポテンシー(希釈度)によって決まる。低いポテンシーは肉体に作用し、ポテンシーが高くなるほど、精神から霊に作用するようになる。
 ところで、霊というものが存在するとすれば、肉体よりも人間の本質に近く、より根源的なはずで、根源という点では生命そのものであるといえるだろう。肉体があるから霊があるのではなく、霊はもともと存在しており、肉体とは霊がまとう服のようなものだと考えた方が自然である。人間が服に合わせて造られたのではなく、服が人間に合わせて造られているように。
 ならば、肉体という服は、霊を「鋳型」にして造られているのではないだろうか。
 イエール大学医学部教授のハロルド・サクストン・バー(1889-1973)は、生命体から検出される微弱な電磁波は、生命場(ライフ・フィールド)が存在していることを示唆するものだと提唱した。バーによれば、それは「生命の鋳型」である。
「われわれの肉体を構成する分子や細胞は、絶え間なく壊れ去っていく一方、食物から供給される新鮮な素材によって、新たに再生されている。だがこのように生々流転しながらも、肉体がほぼ、過去と同じ姿かたちを保っていられるのは、ライフ・フィールドが存在し、それによってコントロールされているおかげなのである。
 バーの説が正しければ、レメディの薬効の「電磁波説」は、生命場の物質次元における現れであると解釈できるかもしれない。

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