HOME書庫ホメオパシーの謎を解く

                 ホメオパシーの謎を解く(パート12)

 パート12

 ホロン・フラクタル構造
 仮に、霊が肉体の鋳型になっているとしたら、肉体の構造を調べることで、鋳型である霊の構造がどのようなものかを推測することができるはずである。
 ただし、肉体の構造を調べるといっても、霊は物質ではないので、肉体の物質的な構造よりも、非物質的な構造、すなわちエネルギー的な構造を調べたほうが、より霊の実像に近くなるだろう。
 そのために、中国医学でいわれる「経絡」が参考になるはずだ。俗にいうツボである。
 経絡は電気的に計測することも可能だが、そこに流れているのは電気というより、いわゆる「気」と呼ばれる生命エネルギーであり、基本的にレメディを活性化させるエネルギーと同じであると考えられる。
 経絡は身体中、至るところに存在するが、興味深いことに、ある部分に身体全体のツボが集約されていることだ。たとえば、手のひらや足の裏には、身体すべての内臓の経絡が集まっていることは周知の通りである。リフレクスオロジーという西洋式マッサージは、特に足の裏の経絡に刺激を与えることで身体全体を癒そうとするものだ。同様の経絡は耳にもあり、耳に針を刺して人体のあらゆる箇所を癒すことができる。こうしたことは、人体の「部分」には「全体の情報」が包含されているということである。
 これは物質的なレベルにも反映されており、ご存じのように、肉体の最小単位である細胞の中に、遺伝子DNAという形で肉体の全体情報が含まれているのだ。
 科学ジャーナリストのアーサー・ケストラーは、部分の中に全体が含まれる階層構造を、「全体」を意味する言葉から導いて「ホロン」と名づけた。
 一方、数学者マンデルブロは、部分と全体とが相似形の関係にある幾何学構造を、「断片」を意味する言葉から導いて「フラクタル」と名づけた。どちらも意味するところは同じであり、ここでは両者をまとめて「ホロン・フラクタル構造」と呼ぶことにしたい。
 さて、このホロン・フラクタル構造が、肉体のエネルギー的な構造になっていることが観察されることがわかった。
 ならば、肉体の鋳型である霊もまた、ホロン・フラクタル構造をしているのではないだろうか?
 すなわち、霊は、どの部分であっても全体が包含されているのではないか?
 表現を変えれば、「どの部分も全体である」という構造である。あるいはまた、どの部分も全体であるなら、実質上、霊に「部分」は存在しないという表現もできるだろう。



  アーサー・ケストラー(左)
  耳の中にあるツボ(中) 

  フラクタルのモデル(右)。全体も六角形であり、
  部分も六角形の相似になっている。




 レメディの謎を解くホログラフィ・モデル
 さて、ホメオパシーのレメディは、ポテンシーが高いほど、精神レベル、さらには霊性レベルに作用するといわれているが、だとすればレメディのもつエネルギー的な構造も、霊の構造に近づいていくはずである。なぜなら、「似たものは似たもので癒される(類似の法則)」が、ホメオパシーの治癒力の基本メカニズムだからだ。
 そして、霊の構造に近づいていくということは、レメディもホロン・フラクタル構造になっていくことを意味している。ポテンシーをあげるほど(希釈・震盪を繰り返すほど)、レメディのホロン・フラクタル構造が精緻になっていくと考えられるのだ。
 ここで、この仮説を暗喩的に理解するための、興味深いモデルを紹介してみたい。
「ホログラフィ」と呼ばれる立体写真である。
 ホログラフィで撮影された画像、たとえば「人間の顔」を見ると、正面のみならず、視点をずらすと斜め横顔まではっきりと見える。まるで、本当の顔がそこに存在しているかのように、実にリアルな立体映像なのだ。
 ホログラフィの原理はこうである。
 まず、レーザー光線の光をプリズムを使って2つに分岐させ、一方の光線を被写体に当てる。その反射光と、もう一方の分岐した光線とを感光板に当てる。すると、感光板には2つの光線がぶつかって干渉(合成)した光線が記録される。すなわち、被写体の情報を記録した光の波と、何も記録していない“まっさらな”光の波をぶつけるのだ。
 この干渉光を感光板に焼いて作られたのがホログラム(通常の写真のネガに相当する)で、このホログラムに再びレーザー光線を当てると、そこに見事な立体映像が浮かび上がるのである。
 ところで、こうしたホログラフィには面白い特徴がある。
 感光板であるホログラムを切断しても、それにレーザー光線を当てて映し出されるホログラフィ映像には、被写体の全体像が浮かびあがるのだ。
 たとえば、人の全体を写したホログラムがあったとしよう。そのホログラムを上下2つに切断しても、上半身と下半身といった部分にはならず、それぞれに人の全体像が映し出されるのである(ただし画質は落ちる)。ホログラムには「部分」といったものは存在していない。すべてが全体なのだ。つまり、ホロン・フラクタル構造をしているということである。


  ホログラフィ(左)
  ホログラフィの理論を説明した図(右)

 




 レメディはホロン・フラクタル構造をしている
ところで、レメディの治癒力の正体ではないかと考察してきたODエネルギーもまた、光として見えることを紹介した。
 ならば、レメディの希釈・震盪というのは、ODの光どうしをぶつけている行為だと解釈できないだろうか。すなわち、原液成分から放射されるODの光と、希釈のために注がれる純粋な水のOD光とが、震盪によってぶつかりあっているのではないか?
 ライヘンバッハによれば、そのときにODは光を増すといっている。
 この行為は、被写体情報を含んだレーザー光と、純粋なレーザー光をぶつけて干渉光を作り出すホログラフィの仕組みと、どこか似たものが感じられる。
 すなわち、原液の情報を含んだOD光と、何の情報も含まない“まっさらな”純粋な水のOD光とを震盪させる(ぶつける)ことで、ホログラフィのような干渉光が生まれているのかもしれない。
 仮にそうだとすると、そうしてできた希釈水は、エネルギー的にはホロン・フラクタル構造をしている可能性が高い。
 そして、希釈・震盪を繰り返すことで、ホロン・フラクタル構造は、より精緻なものになっていくのではないか。部分に全体像が記録され、さらに部分の部分に全体像が記録されていくといったように、多層的に重なっていき、より密度が濃いもの、より「画素数」の多い構造になっていくと考えられるのだ。
 こうしてポテンシーを高めるほど、「霊」がもつホロン・フラクタル構造に近づいていき、レメディの薬効が精神や霊性に効果を発揮するようになるのかもしれない。
 すなわち、レメディがもつ薬効情報は、ホログラムのようにホロン・フラクタル構造をしているに違いない。

 なぜ、レメディは口の中に含むだけで効果があるのか?
 このように考えると、レメディが“なめるだけ”で効くという謎も説明がつきそうだ。
 レメディがホロン・フラクタル構造をしていれば、どの部分にも全体があるわけだから、部分を共鳴させれば、部分と相似関係にある全体が共鳴するであろう。
 つまり、口中にレメディを含むと、生命エネルギーによってレメディの情報が活性化され、それが口の中に広がる。口中という部分は全体とホロン・フラクタル関係にあるので、部分の振動が全体を共鳴させ、全身に薬効が広がっていくのである。とりわけ頭部には中心的な神経が集中しているので、その意味でも口は、薬効情報の取り込み場所としてふさわしいともいえる。
 患者の中には、レメディを口に入れて数秒もしないうちに症状が緩和されてしまう人がいる。部分の共鳴が瞬時にして全体を共鳴させたのであろう。それは人間というものが、肉体のみならず、霊と呼べるような別のエネルギー的なからだをもっていることを示しているともいえる。
 ラトガース大学の分子・行動神経科学センターのキャンディス・パート博士によれば、脳からのメッセージは、必ずしも肉体の各部に“伝わる”のではなく、自然発生的なものだと報告している。すなわち、脳からのメッセージは、神経システム、あるいは化学的な伝達物質によって肉体の各部に伝えられているとは限らず、すべての細胞が、“同時に”メッセージをつかんでいる場合もあるというのだ。
 仮にそのようなことがあるとすれば、エネルギー的な共鳴現象という以外には考えられないだろう。そして、部分が全体を共鳴させるには、部分と全体とが同じ振動数、すなわち相似的なホロン・フラクタル構造になっていなければならない。
 人体各部に同時にメッセージが伝わるメカニズムについて、博士は次のようにいっている。
「私たちにはわかりませんが、それを解明するのは物理学者だろうと思います。なぜなら、そこには明らかに、私たちにはまだわかっていない、別のエネルギー形態があるからです……」

このページのトップへ