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                    探求の光(第4話)


 もっているものを数え、いらないものを数えよ

 右の天使がいった。
 「何が必要か、ということばかり考えてはいけません。何が必要でないか、という観点からも考えなければなりません。必要でないものは、どんどんと捨て去っていくことです。高価なバッグ、高価なクルマ、豪勢な家、そのようなものが必要ですか? 必要なら所有しなさい。けれども、人はもてばもつほど不自由になってしまうことを忘れてはいけません。喫煙の習慣をもっている人は、もっていない人よりも不自由なのです。ブランドの服を必要としている人は、必要としていない人よりも、自由を犠牲にしているのです。煩雑な戒律やドグマに凝り固まった宗教が必要な人は、必要でない人に比べて不自由なのです。あらゆるこだわりがある人は不自由なのです。これがなければダメだ、とは考えずに、これはなくてもいいんだと考えて、なるべく身辺を軽くしていなさい。実際、この地上世界は、旅人がちょっと立ち寄った宿のようなものです。荷物が軽くなければ、天国へ昇っていくことはできないでしょう」
 次に左の天使がいった。
 「何をもっていないか、ということばかり考えてはいけません。何をもっているか、という観点からも考えなければなりません。あなた方は、常に自分に不足しているものばかりに不平をいっています。お金がないといって文句ばかりいっていますね。ならば、私は大金をあなたに支払いますから、あなたのその両目を譲ってください。あなたの腕や足を譲ってください。あなたの子供でもけっこうですよ。お金はいくらだって差し上げますから。でも、どうでしょう。たとえひとつの国が買えてしまうほど大金をもらったとしても、両目を売ろうとは思わないでしょう。ならば、あなたが両目をもっているということは、お金に換算すれば、それだけで大金を所有していることになりませんか? もしもあなたが、美しいものに感動できる心をもっていたら、それを私にいくらで売ってくれますか? たとえいくら積まれても、その心を売ろうとは思わないのではありませんか。もっていないものを数えるのではなく、もっているものを数えなさい。そして、そのひとつひとつに感謝しなさい」

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