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                    探求の光(第6話)

 すべては借り物にすぎない

 右の天使がいった。
 「この世の中に、大切ではないものはなにひとつありません。すべてが大切なのです。なぜなら、すべてが神の創造されたものであり、いってみれば神の「作品」だからです。だから、どんなものも、どんな人も、大切にしなさい。まるで自分自身であるかのように。他人の持っている物であっても、自分の所有物であるかのように大切にしなさい。他人の子供は自分の子供だと思いなさい。空を飛ぶ小鳥は、自分が飼っているのだと思いなさい。野に咲く花々、草木は、自分の庭に生えているのだと思いなさい」
 続いて左の天使がいった。
 「この世の中に、なにひとつとしてあなたのものはありません。すべては「借り物」にすぎません。あなたの家も家具も、服もカバンも、縁があって、たまたまあなたが使っているだけにすぎないのです。あなたの家族も、配偶者も同じです。あなたの子供は、しばらくの間、神様から預かっているだけです。すべては神のものです。だから、いつかは神に返さなければなりません。だから、執着してはいけません。あなたの肉体だって、それは「借り物」なのですよ。地上で生活するための、いわば「制服」のようなものなのです。しかしだからこそ、大切にしなければならないのです」

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