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真・Water Gate Cafe

外法帖放遊記

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第弐拾話「菩薩眼」
さて、前回の京・大阪行にて、「美里藍菩薩眼」という重要情報を掴んだ鬼道衆
鬼哭村に戻るやさっそく、
美里藍『奪還』(こーいうことになる。過去の因縁からすると)作戦」、開始である。

龍閃組の活動拠点と目されているのか、新宿へと出る一行。
二手に分れ、澳&九は療養所へ、&桔は茶屋で聞き込みを。
茶屋にて、「お花ちゃん花園神社に行ったのは、かも――」という店主の話を聞く。

さっそく急行――しようとするものの、
途中で御厨&与助の八丁堀コンビにエンカウント。
御厨ったら、「遼の字」なんて、「アダ名」にしようかと思ってた名前で呼びよって。
やめといてよかった……。

ともあれ、彼らからは、世を騒がす「大宇宙党」の話を聞ける。
と、どうしたわけか、その名を聞いたとたん、
心の底から大爆笑したい気持ちがふつふつとわいてくる遼次郎
「義賊・大宇宙党」として、庶民に人気だそうなのだが、
いちおう盗賊には違いないので、調べているとのこと――。
(かかわらないほうが吉だよ……)
無意識の領域で、激しくそう諌めつつ、御厨たちとは別れる。

のち、九&澳と合流、花園神社へ。
「そろそろ捕まりやがれよ、美里……」って、澳継クン、来たばっかりぢゃん(笑)。
あと、覚えていないけど忘れようのない大事な「あのひと」に、乱暴な口を利いたので、
蹴っておこうか(笑)。
「いてっ! なにすんだよ!」
「いや、なんとなく……」
(ここで蹴るのは、あくまでも妄想補完ネタです)

神社には、炊き出しの雑炊を配る、茶屋の看板娘・お花ちゃんの姿が。
なんと、この施しのネタは、「大宇宙党」により配られた金子三両なんだそーな。
そこに、「標的」のが買い出しから戻ってきた。
しかも、洗い物に行くと、ひとりでその場を離れて行ってしまった。
チャンスとばかり、追う一行だが、遼次郎の足取りは重い。

さて、正直、見つからなければいいな……という遼次郎の思いに反し、
あっさりと見つかり、一行に囲まれてしまう
「退路は俺たちが断つ。美里は頼んだぞ、りんりん!」
頼まれてもなあ……、と、躊躇する遼次郎
「なに遠慮してんだよりんりん!」
うるさい、オマエにはわからん。……もっとも、「今の」自分にも、わからんのだが。
あと、「りんりん」はよせ、澳継クン蹴るぞ(笑)。
しかたない、なるべく乱暴はしたくないので、ついてきてはくれまいか?
てなカンジで頼むしかない遼次郎

と、そこに――おっとり刀で、町同心が駆けつける。
まさか、御厨か――と思ったが、違った。
しかし、そんなに騒いだつもりはないのに、なかなか鼻が利くヤツだ。
さらに、一行を例の「送り提灯」の犯人と見抜くなど、
なかなか明敏でもある。
どうやら誤魔化しようはない――と、戦闘へ。

〜つーても、所詮は町同心〜

そんなワケで、は無事(?)鬼哭村へ。
とりあえず、彼女は村の離れに軟禁状態。

「溺れる〜……」
すっかりトラウマになったらしく、「水」の夢を見ている澳継クン(笑)をよそに、
のことが気になり、眠れぬ遼次郎

そこに、同じ気持ちであったらしい、天戒が寄ってきた。
昨今、の居る「離れ」の奥の山には、なにやら妖(あやかし)が出没するらしい。
なので、様子を見てきてくれ、とのことだ。

そう、あくまでも「奪還」したのであって、「誘拐」したわけではないのだ。
その身の安全は、誰よりも「彼」が気にかけるところだろう。
とはいえ、の方からすれば、そんなふうにはとても思えまい。
自分とは、今は、まともな会話になるまいから……と。

の居る「離れ」にやってきた遼次郎
「どうしてこんなことをするの!?」
の言葉はもっともだ。

が、よく聞くと、それは、この「誘拐行為」に対する非難ではなく、
彼ら「鬼道衆」の所業への非難であった。
「あなたも、復讐のために、たくさんの罪も無い民を苦しめても、いいと思うの!?」
まさか、そんなことは思っていないさ。
それどころか、頭目からして、それは避けたいと考えているようだ。
いや、むしろ、「そんなことのない世の中」を創るために戦っている、とさえ言える。

「なら、私たちは、わかりあうこともできるんじゃないの?」
必死の形相の
自分が捕まった――なんてことは、この際どうでもいいみたいである。
むしろ、直接話し合えるチャンスだとすら思っているらしい。
さすがは龍閃組。肝が据わっているというか、常人離れしているというか(笑)。
それに――
「あなたと話せてよかった。なぜか、あなたになら――わかってもらえると思ったの」
なんだか、向こうも初対面のようには感じていないらしい。
そうさ、だって……君とは……。

君とは……? なんだと言うのだろう。
ど忘れした文字が、ノドまで出ているのに思い出せない――。
そんな気分のまま、「離れ」を後にする遼次郎

一方、父祖の墓に、「菩薩眼の娘、『帰還』する」の報告をする天戒
だが、本当にこれでよかったのか、疑問に感じている様子だ。

合流したは、なんとなく、そのまま村の見回りをして歩く。
と、そこに――「敵襲」!
なんと、それは、あの「御用船」の中で見た「積荷」の中身、
得体の知れぬ「ヨロイ」たちの軍勢だ!

〜激闘中〜

なんとか退けたものの、下忍たちが、かなりの被害を被った。
下忍とはいえ、仲間である。
――いや、まだ若いから「下忍」なのであって、むしろ彼らこそ、
天戒にとって、将来を託す大切な希望であるのだ。

だが、何人かは、あまりに深い傷のため、
駆け付けた桔梗の術法も効かず、死に瀕している。
焦る一行の側に――なぜか、の姿が!

いつのまに、どうやって抜け出したのかと、驚く一行をよそに、
はテキパキと、下忍たちに治療を施し始める。
「……敵を救って、どうするのだ?」
戸惑ったような天戒の言葉。
しかし――
「目の前で失われようとしている命を、見殺しにしろと言うのっ!?」
と、むしろ怒られてしまう。
「さあ、もう大丈夫よ――」
「あ、ありがとう……」
自分たちの救い主を、崇めるような目で見つめる下忍たちの瞳に、
天戒は、何を感じたのか。

明けて、翌日。
九角屋敷にて、と会見する鬼道衆

「菩薩眼」と九角家とのかかわり、それを引き裂いた幕府の横暴さ、などを訴え、
徳川による流血の歴史を止めるべき、自分たちの理想を説く天戒
しかし、「だからこそ」、双方の先鋒機関である、自分たち――龍閃組と、鬼道衆が、
わかりあうことが大切なのではないかと説く
遼次郎の方を、ちらりと見て――わかりあえるはずだ、とも。
「私は、ここで殺されても構わない――それで、あなたの考え方が変わるのなら」
ひたと見据えられ、言葉に詰まる天戒

会見は、の気迫勝ちといった様相だった。
見かけによらず、意思が強いというか、頑固な娘であったため、
どうにも懐柔はできそうにないと見たのか――
そうした異質な思想が入っていると、鬼哭村の連帯が崩れるとも考えたのか、
「夜のうちに、を町に帰せ」
と組んでな。――と、九桐に、密命を下す天戒
「いいんですか? とあなたは――」

かつて、幕府に捕らえられた菩薩眼の娘を救い出し、妻に迎えたのは、
天戒の父親である。
彼らは、二人の子を成したという。
そして、菩薩眼の<能力>は、親から子へと受け継がれる。
と、いうことは、天戒は――。

「菩薩眼の<力>は、伝説の中に消えて行くのだ。
それでも――いつかまた会えるのなら……」



今回の話は、「陽」編における、「病欠」のウラ話なんですね。
人知れず、こんなハードな経験をしていたのか。
ごめんね、気付いてあげられなくて。
は、かなりしっかりした考え方の、「大人の女性」なんだけど、
そーいう大事なことを、ヒトに打ち明けられない――
そんなトコばかりは、子孫とそっくり(笑)。
なんでもひとりで抱え込むのは、良くないよお。

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