外法帖放遊記 |
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第弐拾話「菩薩眼」 |
さて、前回の京・大阪行にて、「美里藍=菩薩眼」という重要情報を掴んだ鬼道衆。 鬼哭村に戻るやさっそく、 「美里藍『奪還』(こーいうことになる。過去の因縁からすると)作戦」、開始である。 ★ 龍閃組の活動拠点と目されているのか、新宿へと出る一行。 二手に分れ、澳&九は療養所へ、遼&桔は茶屋で聞き込みを。 茶屋にて、「お花ちゃんと花園神社に行ったのは、藍かも――」という店主の話を聞く。 さっそく急行――しようとするものの、 途中で御厨&与助の八丁堀コンビにエンカウント。 御厨ったら、「遼の字」なんて、「アダ名」にしようかと思ってた名前で呼びよって。 やめといてよかった……。 ともあれ、彼らからは、世を騒がす「大宇宙党」の話を聞ける。 と、どうしたわけか、その名を聞いたとたん、 心の底から大爆笑したい気持ちがふつふつとわいてくる遼次郎。 「義賊・大宇宙党」として、庶民に人気だそうなのだが、 いちおう盗賊には違いないので、調べているとのこと――。 (かかわらないほうが吉だよ……) 無意識の領域で、激しくそう諌めつつ、御厨たちとは別れる。 のち、九&澳と合流、花園神社へ。 「そろそろ捕まりやがれよ、美里……」って、澳継クン、来たばっかりぢゃん(笑)。 あと、覚えていないけど忘れようのない大事な「あのひと」に、乱暴な口を利いたので、 蹴っておこうか(笑)。 「いてっ! なにすんだよ!」 「いや、なんとなく……」 (ここで蹴るのは、あくまでも妄想補完ネタです) 神社には、炊き出しの雑炊を配る、茶屋の看板娘・お花ちゃんの姿が。 なんと、この施しのネタは、「大宇宙党」により配られた金子三両なんだそーな。 そこに、「標的」の藍が買い出しから戻ってきた。 しかも、洗い物に行くと、ひとりでその場を離れて行ってしまった。 チャンスとばかり、追う一行だが、遼次郎の足取りは重い。 さて、正直、見つからなければいいな……という遼次郎の思いに反し、 あっさりと見つかり、一行に囲まれてしまう藍。 「退路は俺たちが断つ。美里は頼んだぞ、りんりん!」 頼まれてもなあ……、と、躊躇する遼次郎。 「なに遠慮してんだよりんりん!」 うるさい、オマエにはわからん。……もっとも、「今の」自分にも、わからんのだが。 あと、「りんりん」はよせ、澳継クン。蹴るぞ(笑)。 しかたない、なるべく乱暴はしたくないので、ついてきてはくれまいか? てなカンジで頼むしかない遼次郎。 と、そこに――おっとり刀で、町同心が駆けつける。 まさか、御厨か――と思ったが、違った。 しかし、そんなに騒いだつもりはないのに、なかなか鼻が利くヤツだ。 さらに、一行を例の「送り提灯」の犯人と見抜くなど、 なかなか明敏でもある。 どうやら誤魔化しようはない――と、戦闘へ。 〜つーても、所詮は町同心〜 そんなワケで、藍は無事(?)鬼哭村へ。 とりあえず、彼女は村の離れに軟禁状態。 「溺れる〜……」 すっかりトラウマになったらしく、「水」の夢を見ている澳継クン(笑)をよそに、 藍のことが気になり、眠れぬ遼次郎。 そこに、同じ気持ちであったらしい、天戒が寄ってきた。 昨今、藍の居る「離れ」の奥の山には、なにやら妖(あやかし)が出没するらしい。 なので、様子を見てきてくれ、とのことだ。 そう、あくまでも「奪還」したのであって、「誘拐」したわけではないのだ。 その身の安全は、誰よりも「彼」が気にかけるところだろう。 とはいえ、藍の方からすれば、そんなふうにはとても思えまい。 自分とは、今は、まともな会話になるまいから……と。 藍の居る「離れ」にやってきた遼次郎。 「どうしてこんなことをするの!?」 藍の言葉はもっともだ。 が、よく聞くと、それは、この「誘拐行為」に対する非難ではなく、 彼ら「鬼道衆」の所業への非難であった。 「あなたも、復讐のために、たくさんの罪も無い民を苦しめても、いいと思うの!?」 まさか、そんなことは思っていないさ。 それどころか、頭目からして、それは避けたいと考えているようだ。 いや、むしろ、「そんなことのない世の中」を創るために戦っている、とさえ言える。 「なら、私たちは、わかりあうこともできるんじゃないの?」 必死の形相の藍。 自分が捕まった――なんてことは、この際どうでもいいみたいである。 むしろ、直接話し合えるチャンスだとすら思っているらしい。 さすがは龍閃組。肝が据わっているというか、常人離れしているというか(笑)。 それに―― 「あなたと話せてよかった。なぜか、あなたになら――わかってもらえると思ったの」 なんだか、向こうも初対面のようには感じていないらしい。 そうさ、だって……君とは……。 君とは……? なんだと言うのだろう。 ど忘れした文字が、ノドまで出ているのに思い出せない――。 そんな気分のまま、「離れ」を後にする遼次郎。 一方、父祖の墓に、「菩薩眼の娘、『帰還』する」の報告をする天戒。 だが、本当にこれでよかったのか、疑問に感じている様子だ。 合流した天&遼は、なんとなく、そのまま村の見回りをして歩く。 と、そこに――「敵襲」! なんと、それは、あの「御用船」の中で見た「積荷」の中身、 得体の知れぬ「ヨロイ」たちの軍勢だ! 〜激闘中〜 なんとか退けたものの、下忍たちが、かなりの被害を被った。 下忍とはいえ、仲間である。 ――いや、まだ若いから「下忍」なのであって、むしろ彼らこそ、 天戒にとって、将来を託す大切な希望であるのだ。 だが、何人かは、あまりに深い傷のため、 駆け付けた桔梗の術法も効かず、死に瀕している。 焦る一行の側に――なぜか、藍の姿が! いつのまに、どうやって抜け出したのかと、驚く一行をよそに、 藍はテキパキと、下忍たちに治療を施し始める。 「……敵を救って、どうするのだ?」 戸惑ったような天戒の言葉。 しかし―― 「目の前で失われようとしている命を、見殺しにしろと言うのっ!?」 と、むしろ怒られてしまう。 「さあ、もう大丈夫よ――」 「あ、ありがとう……」 自分たちの救い主を、崇めるような目で見つめる下忍たちの瞳に、 天戒は、何を感じたのか。 明けて、翌日。 九角屋敷にて、藍と会見する鬼道衆。 「菩薩眼」と九角家とのかかわり、それを引き裂いた幕府の横暴さ、などを訴え、 徳川による流血の歴史を止めるべき、自分たちの理想を説く天戒。 しかし、「だからこそ」、双方の先鋒機関である、自分たち――龍閃組と、鬼道衆が、 わかりあうことが大切なのではないかと説く藍。 遼次郎の方を、ちらりと見て――わかりあえるはずだ、とも。 「私は、ここで殺されても構わない――それで、あなたの考え方が変わるのなら」 ひたと見据えられ、言葉に詰まる天戒。 会見は、藍の気迫勝ちといった様相だった。 見かけによらず、意思が強いというか、頑固な娘であったため、 どうにも懐柔はできそうにないと見たのか―― そうした異質な思想が入っていると、鬼哭村の連帯が崩れるとも考えたのか、 「夜のうちに、藍を町に帰せ」 遼と組んでな。――と、九桐に、密命を下す天戒。 「いいんですか? 藍とあなたは――」 かつて、幕府に捕らえられた菩薩眼の娘を救い出し、妻に迎えたのは、 天戒の父親である。 彼らは、二人の子を成したという。 そして、菩薩眼の<能力>は、親から子へと受け継がれる。 と、いうことは、天戒と藍は――。 「菩薩眼の<力>は、伝説の中に消えて行くのだ。 それでも――いつかまた会えるのなら……」 ★ 今回の話は、「陽」編における、藍「病欠」のウラ話なんですね。 人知れず、こんなハードな経験をしていたのか。 ごめんね、気付いてあげられなくて。 藍は、かなりしっかりした考え方の、「大人の女性」なんだけど、 そーいう大事なことを、ヒトに打ち明けられない―― そんなトコばかりは、子孫とそっくり(笑)。 なんでもひとりで抱え込むのは、良くないよお。 |
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