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 栄養素・食品データ【ビタミン】 
ビタミンC (アスコルビン酸)
2013.05.31 (Tue) 22:01
【性質・事実】
水溶性。
抗壊血病の因子として発見された。
構造がグルコース(ブドウ糖)と似ている。
『ビタミンC:C6H8O6,ブドウ糖:C6H12O6』
血液脳関門を通過できる。
単糖類を加えると変質し、二糖類では安定する。
人間は体内で合成できない。
白血球に蓄積されやすい傾向がある。
体内のビタミンCの半減期は16日である。
フラボノイドと同時摂取することで、より強力な抗酸化作用を示す。
【所要量】
100mg
【上限】
規定無し
※所要量、上限は成人男性を基準にしています。
その他の年齢・性別に関しては、こちらのビタミン摂取基準を参照(PDF)
【働き】
傷、火傷、歯茎の出血を止める。
壊血病を予防する。
白内障のリスクを減少させる。
ストレス、疲労の軽減をする。
利尿作用がある。
寒冷抵抗力を高める。
鎮痛作用を持っている。
フリーラジカルの攻撃から脳細胞を守る。
ビタミンEラジカルを還元して再生する。
身体全体の酸化還元に関わる。
グルタチオンペルオキシターゼを増加させる。
プロスタグランジンの生成と調節に関与する。
LDLコレステロールの酸化を防ぐ。
血中総コレステロールの値を下げる補助をする。
静脈内の血栓を予防する。
糖の代謝に関与する。
インスリン様の血糖低下作用を持っている。
胃潰瘍の再発、予防に有効。
菌毒不活化作用がある。
(ジフテリア菌、破傷風菌、ボツリヌス菌、ブドウ球菌、赤痢菌で確認)
一般的に免疫系の力を強める。
インターフェロンの合成を促進する。(補酵素として働いている可能性が高い)
単純疱疹、帯状疱疹の予防をする。
風邪の予防と治療に役立つ。
アデノウィルス、ライノウィルスの遺伝子の活性化を抑制する。
コラーゲン合成による結合組織を強化することにより、
細胞内へのウィルスの侵入を防いでいる可能性がある。
5-10g/dayの摂取でリンパ球の産生を促す。
ガン細胞内のミトコンドリア中で、エネルギーの生成を妨げる。
放射線障害を低減する。
胃内で生成される発がん性物質を抑制する。
50種類以上の代謝における補酵素の役割を果たす。
薬物代謝系に関わる。
ニトロソアミンの形成を妨げる。(毎食後ビタミンC100mg摂取が目安)
自然な緩下剤の役割を果たす。
抗ヒスタミン作用がある。
アレルギーを起こす多くの物質の働きを弱める。
脳の変性疾患のリスクを減らす。
副腎皮質ホルモン、コラーゲンの合成にあたって補酵素の役割を担う。
副腎組織で合成されるステロイドの水酸化にも関与している。
メラニンの沈着を防ぎ、脱色もする。
金属キレート作用を持っている。
妊娠を望む男性の助けになる。
【ヒトにおける有効性の高い症状・効果】
壊血病。
鉄の吸収効率増加。
ガン予防。(植物性由来のアスコルビン酸)
シワ。
風邪。
高血圧。
胆嚢疾患のリスク低減。
骨・軟骨の減少。
紅斑。
循環器系疾患と末梢血管疾患リスク低減。
アテローム性動脈硬化予防。
ピロリ菌による胃潰瘍。
U型糖尿病患者の尿タンパク減少。
血中鉛濃度の低下。
妊娠高血圧腎症予防。
高齢者の身体能力と体力の向上。
【供給源】
柑橘類、ベリー類、緑色素野菜、トマト、じゃがいも
カリフラワー、ブロッコリー、プルーン、赤唐辛子
アスコルビン酸とデヒドロアスコルビン酸塩として存在する。
【欠乏症】
壊血病
※わずか10mg/dayで予防できる。
【毒性・過剰症】
大量にまとめて摂取しても、過剰分は腸から吸収されないため、
過剰摂取による害は、ほぼ心配ない。
過剰症として、尿路結石および蓚酸の形成の要因になることが示唆されているが、
ビタミンA、ビタミンB6、マグネシウムが十分摂取できていれば問題ない。
1日に10g以上摂ると、下痢、頻尿、
皮膚の発疹といった副作用が出ることがある。
その場合は量を減らせばよい。
過敏な人には1gで軽度で一時的な胃腸のトラブルを起こすが、
それ以外の人は有害になることは極めて希である。
【サプリメント】
錠剤、カプセル、ドロップ、シロップ、粉末、チュアブルなどバラエティに富む。
純粋なビタミンC(アスコルビン酸)は、トウモロコシの
デキストロース由来である。(右旋性ブドウ糖)
アセロラ、ローズヒップ、カムカム、アムラなどがよい供給源である。
バイオフラボノイド類、ヘスペリジン、ルチン(citrus saltsと表記)を含む、
完全なビタミンCコンプレックスが、サプリメントして理想的である。
「天然ビタミンC含有」「天然○○のビタミンC」などと謳った商品においては、
肝心の天然由来ビタミンCが少量しか入ってない場合が多い。多すぎる。
タイムリリース式、脂溶性ビタミンC(アスコルビン酸パルミテート)、
カルシウムを加えて胃への刺激が少ないバッファータイプがある。
【天然型・合成型】
分子構造、働きは変わらない。
Lアスコルビン酸とDアスコルビン酸の二種類の異性体である。
【他の栄養素との関係】
腸管内にて第二鉄を第一鉄に還元して、鉄吸収を促進する。
ビタミンEと協働して、リポタンパク質の遊離基による酸化作用を妨げる。
COQ10、ビタミンE、グルタチオンと酸化還元反応を行う。
クロムの吸収を阻害する。
血漿トランスフェリンから肝臓フェリンへの鉄の移動に関与する。
以下の代謝に不可欠
 ・フェニルアラニンとチロシンの酸化
 ・葉酸のテトラヒドロ葉酸への変換
 ・トリプトファンの5-HTPおよびセロトニンへの変換
 ・ドーパミンからノルエピネフリンの生成
【注意事項】
水、熱、光、アルカリ、酸素に弱い。
糖尿病治療薬のクロルプロパミドとサルファ剤の効果を弱める。
大量に摂取している習慣がある場合、以下の2点の検査で注意が必要。
いずれも正確な結果が出なくなるので、検査前に医師に伝える必要がある。
  ・大腸ガンのスクリーニング検査
  ・糖尿病患者の尿検査
また、ワーファリンの効果を弱め、葉酸とコバラミンの排泄を促す。
以下の人には高単位ビタミンCの摂取を勧められない。
  ・遺伝的ヘモグロビン代謝障害(サラセミア)
  ・鉄代謝異常のヘモクロマトーシス
小児用バファリン(アスピリン)はビタミンCの排泄速度を早める。
DTICやメトトレキセートといった抗がん剤の効果を弱めてしまう。
【吸収、輸送、貯蔵】
能動輸送と受動拡散によって吸収される。
酸化型のデヒドロアスコルビン酸の方が、還元型のアスコルビン酸塩ないし、
アスコルビン酸より吸収されやすい。
摂取量が少ない時は腸による吸収率は80〜90%と高いが、
摂取量が1g/dayを越えると著しく低下する。
食後に1gのビタミンCを摂ると、400〜550mgは小腸で吸収されずに大腸へ行く。
大腸においては、発ガン物質・その他有害物質の生成を抑え、
乳酸菌などの有用菌を増やし、悪玉菌を押さえる。
吸収されなくても無駄になることはない。
大腸にて腸内微生物により分解されるため、大便にビタミンCは殆ど含まれない。
輸送は各々以下の通り。
・還元型アスコルビン酸
 グルコース輸送体と特異的能動輸送系により細胞に取り込まれる。
・酸化型のデヒドロアスコルビン酸
 細胞内に移動した後すぐにアスコルビン酸塩に還元される。
グルコース輸送体による輸送系は、インスリンによって亢進され、
グルコースによって抑制される。
ビタミンCはデヒドロアスコルビン酸として、副腎、脳、眼をはじめとする
様々な重要臓器に貯蔵される。
高血糖誘発性細胞性ビタミンC欠乏症が、細胞の酸化ストレスに繋がる。
その結果、アテローム性動脈硬化症のリスクを増大することが示唆されている。
【備考・補足事項】
体内では免疫系細胞によく取り込まれる。
免疫細胞内には血中の20〜100倍もの濃度のビタミンCが存在する。
以下の人は、より多くのビタミンCを必要とする。
  ・喫煙者、中高年者
  ・アスピリン服用者
  ・避妊ピル服用者
  ・ストレス状況下にある人
煙草一本が25〜100mgのビタミンCを破壊する。
尿路感染の薬の効果を高める。
柑橘類の酸味はビタミンCによるものでなく、クエン酸によるものが多い。
1日1,000mgのビタミンCを2回摂ると、血中ヒスタミン値が40%程度低下する。
抗酸化力に優れ、アスコルビン酸ラジカルはスーパーオキシド、
ヒドロキシラジカル、過酸化水素、一重項酸素といった
遊離基、活性酸素を還元し、無毒化する。
体内では以下のように、可逆的な酸化還元反応が行われる。

出典:Combs Gf: The vitamins; fundamental aspects in nutrition and health, ed2, Orlando, 1998, Academic Press
活性酸素、フリーラジカルを還元して無害化したビタミンCは
反応性の弱いフリーラジカルとなるが、グルタチオン、COQ10、
ビタミンEなどの抗酸化物質により細胞内で再生されて、
再び血中に分泌される。
ビタミンCは構造がグルコースと似ているため、グルコース輸送体により
素早く細胞内に取り込まれうる。
ビタミンCはブドウ糖からグリコーゲンへの代謝を促進する。
血液中のグルコース濃度が高いと(高血糖状態)、
細胞はグルコースを優先して細胞内に取り込むために、
ビタミンCが不足する傾向が強くなる。
水酸化反応に関与する。
例えば、アミノ酸のプロリンを水酸化させて、コラーゲンの生成反応を促進する。
(プロリン水酸化酵素として働く)
肝ミクロソームで薬物、毒物の代謝に関与する。
チトクロームP-450を中心とする薬物代謝酵素の生成、活性化に必要。
毒物を水酸化、弱毒化させて水溶性にし、排泄を容易にする。
抗ストレス作用のある副腎皮質ホルモン、
カテコールアミンの生成と維持に関与する。
人間は体内で合成できないが、殆どの動物は合成できる。
※例えば山羊は13g/day、大きな動物では20g/dayも合成する。
ヒト、サル、モルモットは体内での合成能力を持たない。
ある種のカササギ、インド産のコウモリも合成能力がない。
約4500万年前に、人間はビタミンCの合成酵素の
遺伝子が欠損したと考えられる。
動物実験では抗ガン剤の効果を高めつつ、その副作用を少なくする。
英国の外科医のキャメロンと、米国のライナスポーリング博士の研究では、
1日10gのビタミンCの投与をした臨床試験で、100人の末期癌患者を延命させ、
同時にその性の質を向上させた。
他の研究で、これほどの成果を上げたものはない。
還元型アスコルビン酸は酸素が存在すれば酸化して、
細胞内外で酸化型アスコルビン酸と過酸化水素を生成する。
過酸化水素は細胞にダメージを与える活性酸素だが、
正常な細胞は自身にビタミンCが十分あれば取り入れる量をコントロールし、
余計なビタミンCを取り入れない。
そのようなコントロール能力が無く、いくらでも取り入れてしまい、
過酸化水素で自滅してしまうタイプのガン細胞に、ビタミンC両方は有効と言える。
【考察】
2011年、人生初のインフルエンザにかかったことが発覚した日、
10gのビタミンCを2日間(都合20g)摂取したことがありますが、症状は非常に軽く済み、
二日目からの夜は元気にゲーム三昧で一週間を過ごしたものです。
(その際、ビール酵母、ビタミンE、パウダルコも併用)
回復後も1日あたり500〜5,000mgのビタミンCの摂取を続けていますが、
確かに風邪は引きづらくなっております。
2013.05.31

参考文献
「食品・栄養・食事療法事典」L.Kathleen 他48名 著 /日本語監修:木村修一・香川靖雄 (産調出版)
「健康・栄養 -知っておきたい基礎知識-」 独立行政法人 国立健康・栄養研究所 (第一出版)
「健康・栄誉食品事典(2006−2007 改訂新版)」 奥田拓道 監修 (東洋医学舎)
「ビタミンE健康法」 三石巌 著 (講談社)
「ビタミンC健康法」 三石巌 著 (講談社)
「ビタミンCと健康」 村田晃 著 (共立出版)
「ビタミンサバイバル」 牧瀬忠廣 著 (ビジネス社)
「酸化ストレスから身体を守る」 嵯峨井勝 著 (岩波書店)
「放射能に負けない身体の作り方」 土井里紗 著 (光文社新書)
「ビタミン伝説の真実」 生田哲 著 (祥伝社)
「ビタミンCとかぜ, インフルエンザ」 ライナス・ポーリング 著, 村田晃 訳(共立出版)
「ガンはビタミンで治る」 ケダール・N・プラサド 著 (経済界)
「ビタミンバイブル」 アールミンデル 著, 丸元淑生 訳 (小学館)
「奇跡の脳をつくる食事とサプリメント」 ジーン・カーパー 著, 丸元淑生 訳 (角川春樹事務所)
「アンチオキシダントミラクル」 レスター・パッカー 著, 井上正康 訳(講談社)
「ガンは栄養療法で治る」 パトリック・クイリン著, 今村光一 訳 (中央アート出版)
「サプリメント・健康食品の効き目と安全性」 田中平三 著 (同文書院)
◆ 各種ビタミン
ビタミンA (レチノイド)
ビタミンB1 (チアミン)
ビタミンB2 (リボフラビン)
ビタミンB3 (ナイアシン)
ビタミンB5 (パントテン酸)
ビタミンB6 (ピリドキシン)
ビタミンB8 (イノシトール)
ビタミンB9 (葉酸)
ビタミンB12 (コバラミン)
ビタミンC (アスコルビン酸)
ビタミンD (カルシフェロール)
ビタミンE (トコフェロール)
ビタミンF (不飽和脂肪酸)
ビタミンH (ビオチン)
ビタミンK (フィロキシン)
ビタミンP (フラボノール類)
ビタミンT
ビタミンU
コリン
PABA (パラアミノ安息香酸)