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 栄養素・食品データ【ビタミン】 
ビタミンE (トコフェロール)
2013.05.29 (Tue) 22:45
【性質・事実】
脂溶性。
tocopherolという名称は、ギリシャ語のTokos(誕生)、
Pherin(妊娠)から名付けらた。※olはアルコールを意味する水酸基。
ビタミンEにはトコフェロールと、分子構造が異なるトコトリエノールの2種類があり、
各々α、β、γ、δの4種類、計8種類ある。(アルファ、ベータ、ガンマ、シグマ)
一般的なビタミンEのサプリメントは、αトコフェロールしか含んでいない。
αトコフェロールが最も効力が強く、一般にビタミンEと言えばこれを指す。
がんの予防効果はγトコフェロールの方が強力である。
肝臓、脂肪組織、心臓、筋肉、睾丸、
子宮、血液、副腎、脳下垂体に貯えられる。
天然品はD型、合成品はDL型として区別される。
生物学的活性に基づく国際単位(IU)で示される。
d-α-トコフェロールのみの場合は、1IUは2/3mgと規定されている。
実際は他はトコフェロールも混在しているので、
生物学的活性はほぼ1対1と考えられる。
含有しているトコフェロールがd-α型のみでないのなら、
大雑把に1IU=1mgと見なしても支障はない。
強力な抗酸化物質で、脂肪を含んだ化合物の酸化を防ぐと同時に、
ビタミンA、セレン、システイン、メチオニン、ビタミンCの酸化を防ぐ。
リポプロテインというタンパク質粒子に結合して血中を移動する。
新生児期・思春期・更年期は血中濃度が低く、更年期は要求量が多い。
【所要量】
10mg (15IU)
【上限】
600mg (900IU)
※所要量、上限は成人男性を基準にしています。
その他の年齢・性別に関しては、こちらのビタミン摂取基準を参照(PDF)
【働き】
以下の病気の予防。
  アルツハイマー病、パーキンソン病、
  虚血性心臓病(狭心症、心筋梗塞)、脳卒中
  喉頭がん、肺がん、乳がん、子宮頸がん、大腸がん 以下の症状の改善。
  肩こり、PMS(月経前症候群)、不定愁訴、高血圧
疲労を和らげる。
妊娠しやすい体質になる。 ※脳下垂体前葉ホルモン合成をする代謝の補酵素として働く。
流産の防止の助けになる。
EDの改善に役立つ。
利尿剤として作用し、血圧を下げる。
血管拡張薬、抗凝固薬として働く。
血中コレステロール値の正常化する。
中性脂肪を下げる作用がある。
血管内で斑が成長するのを防ぎ、血管の柔軟性を高める。
血栓を予防・溶解する。
血中のビタミンEの2/3はLDLに含まれ、LDL自体の酸化を防ぐ。
外傷の局部に塗布ならびに服用することにより、傷跡が残りにくくなる。
足の痙攣、腕や足の筋肉の硬直を緩和させる。
インスリンの必要量を減らす。
(膵臓のランゲルハンス島、β細胞膜の透過性を高める)
動脈・腎臓に沈着したカルシウムを追放する。
過酸化脂質(脂質ペルオキシラジカル)に水素を与えて還元する。
【ヒトにおける有効性の高い症状・効果】
下記欠乏症。
遅発性ジスキネジア。(運動障害)
膀胱がん。
アルツハイマー病の記憶力喪失の進行抑制。
男性不妊症。
妊娠高血圧腎症。
月経前症候群(PMS)
パーキンソン病予防。
認知症予防。
環状肉芽腫。(皮膚に塗布)
ブドウ膜炎による視力改善。
日焼け予防。
ハンチントン病の症状緩和。
手術後の目の回復。
高齢者の身体能力・体力の向上。
放射線照射で生じる線維症。(造血障害を引き起こす血液疾患)
【供給源】
小麦胚芽、植物油脂、ナッツ、バター、
芽キャベツ、ほうれん草、未精製穀物
【欠乏症】
赤血球の破壊、筋肉の退行変性、ある種の貧血、生殖機能障害
【毒性・過剰症】
本質的に毒性はない。
過剰摂取により、血液の凝固作用が弱まり出血傾向が強くなる。
急激に大量摂取すると、血圧が上がりやすい。
【サプリメント】
一般的には油をベースとして、ソフトカプセルに入っているが、
琥珀酸塩として固形状(ドライフォーム)に処理されている水溶性ものもある。
油を受け付けないヒト、油で皮膚の状態が悪化するヒトに勧められる。
ドライフォームの方が吸収に優れ、効力も高い。
「D-alpha tocopheryl succinate」と表記されている。
【他の栄養素との関係】
ビタミンAの活性を高める。協働して環境汚染物質より肺を守る。
酸化されたビタミンEは、ビタミンC、COQ10、αリポ酸、システインにより還元される。
鉄(Fe)によって働きが妨げられる。
セレンとの組み合わせにより、強力な抗酸化作用を発揮する。
DHA、EPAといった魚油を酸化から防いでくれる。
【注意事項】
空気、熱、光に弱い。
ワーファリンのような抗凝固剤を服用している場合は、
1日800IU以上の摂取は避けた方がいい。
医師の指示がある場合を除いては、1日1,000IU以上は摂らないこと。
長期の大量投与により、軽度ではあるが肝障害が生じるリスクが高まる。
サプリメントで多めに摂取すると、初期は血圧が上がりやすい。
そのため、徐々に摂取量を増加すれば最終的には血圧は下がる傾向にある。
摂取量を減らす場合も、徐々に行った方が良い。
多価不飽和脂肪酸(DHA、EPA、αリノレン酸、リノール酸など)を
多く摂る食事をしているのなら、所要量以上に摂取した方がいい。
以下の薬剤を服用している場合は、必ず医師と相談をする。
  ウロキナーゼ(血栓溶解剤)、ヘパリン(血液凝固阻止剤)、
  アスピリン(血小板凝集抑制剤)、ワーファリン(抗凝血剤)
出血傾向が増加するので、手術の前後2〜3週間は摂取を控える。
【備考・補足事項】
γトコフェロールには、窒素のフリーラジカルを中和する力が強い。
窒素ラジカルには、神経細胞を細胞死に追い込む性質があり、
アルツハイマー病を含む脳疾患の元凶と考えられている。
タクリンやドネペジルといったアルツハイマー病の処方薬に匹敵する力がある。
※(ハーバード大学・コロンビア大学・カリフォルニア大学を含む6つの大学の研究より、
  1997年4月「The New England Journal of Medicine」にて発表)

天然品はD型、合成品はDL型として区別される。
分子構造は同じでも、立体的な形の違う光学異性体である。
薬剤として使われているのはDL型で、天然と合成の両方が含まれている。
天然品で下痢を起こすケースがあるのなら、合成を使用するのが無難。
合成品は、殆どがαトコフェロールしか含まれていない。
血中の過剰コレステロールは、胆汁に溶かされて十二指腸に捨てられる。
これをスムーズに進行する役割をもつのがビタミンEである。
血中コレステロール値が低下すると、いったん十二指腸に捨てられたものが
朝刊壁から再吸収されて値を上げる。
喫煙者はγトコフェロールが欠乏している。
アラキドン酸から代謝される悪性エイコサノイドの産出を防ぐ。
遺伝子のスイッチを制御して、細胞の分裂増殖を調整する経路、
腫瘍の成長を促進させる酵素を活性化する、プロテインキナーゼCを抑制する。
プロテインキナーゼCは、遺伝子のスイッチを制御して細胞分裂を調整する。
◆ トコトリエノールについて
αトコフェロールはLDLの酸化を抑止し、トコトリエノールは動脈壁を綺麗にする。
サプリメントを摂取する場合は、トコフェロールとトコトリエノールの
2種類が入っているものが望ましい。
トコトリエノールは血中のグルコース濃度を下げ、肝臓病を予防し、
脳卒中、心臓病の要因の一つであるトロンボキサンA2を低下させる。
細胞膜の中を移動しやすく局在しやすい特徴がある。
トコフェロールが入り込めない膜内にも移動できる。
トコフェロールより40〜60倍も再生能力が強く、作用を持続させることができる。
参考文献
「食品・栄養・食事療法事典」L.Kathleen 他48名 著 /日本語監修:木村修一・香川靖雄 (産調出版)
「健康・栄養 -知っておきたい基礎知識-」 独立行政法人 国立健康・栄養研究所 (第一出版)
「健康・栄誉食品事典(2006−2007 改訂新版)」 奥田拓道 監修 (東洋医学舎)
「ビタミンE健康法」 三石巌 著 (講談社)
「ビタミンサバイバル」 牧瀬忠廣 著 (ビジネス社)
「奇跡の脳をつくる食事とサプリメント」 ジーン・カーパー 著, 丸元淑生 訳 (角川春樹事務所)
「アンチオキシダントミラクル」 レスター・パッカー, 井上正康 訳 (講談社サイエンティフィク)
「ビタミンバイブル」 アールミンデル 著, 丸元淑生 訳 (小学館)
「サプリメント・健康食品の効き目と安全性」 田中平三 著 (同文書院)
◆ 各種ビタミン
ビタミンA (レチノイド)
ビタミンB1 (チアミン)
ビタミンB2 (リボフラビン)
ビタミンB3 (ナイアシン)
ビタミンB5 (パントテン酸)
ビタミンB6 (ピリドキシン)
ビタミンB8 (イノシトール)
ビタミンB9 (葉酸)
ビタミンB12 (コバラミン)
ビタミンC (アスコルビン酸)
ビタミンD (カルシフェロール)
ビタミンE (トコフェロール)
ビタミンF (不飽和脂肪酸)
ビタミンH (ビオチン)
ビタミンK (フィロキシン)
ビタミンP (フラボノール類)
ビタミンT
ビタミンU
コリン
PABA (パラアミノ安息香酸)