第弐拾八話「剣客」 |
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幕府の「柳生狩り」で、番屋に連れ去られようとしている、浪人風の男。 「鬼龍組」(鬼+龍だから)の面々も、ソバ屋にてその騒ぎを聞きつけるが、 目的が目的だけに、下手に口を挟めない。 「南無……」 などと、「被害者」の無事を祈るのみで、 とりあえずの今後の自分たちの行動を相談しつつ、ソバ屋を出ると……、 突然、番屋の壁を突き破って、大柄な番衆が転げ出てきた。 番屋に居座る謎のジイさんに、投げ飛ばされたのだという。 と、当のジイさんが一行の前に現れる。 単なる百姓ふうのジイさんにしか見えないが……まさか!? 「お前たちを待っていた。 番屋の連中は、浪人しか捕らえられん腑抜け揃いで役に立たん。 ……ついてこい」 目いっぱい怪しいが、ワナなら噛み破るまでと、情報目当てについて行くことに。 ★ 新宿郊外の、うらぶれた長屋。 ジイさんの住家だというその長屋の前で、 「……いかにもワシは、柳生の使いの者じゃよ」 ひょうひょうと言い放つジイさん。 さらに、いきり立つ一行の剣を「殺人剣」とののしり、 「それでは柳生となんら変わらん」――と、説教までされてしまう。 ますます怒る一行をなだめ、 もともと罠は承知だったはずだ。まずは「ご招待」に応じようではないか―― と、場をまとめる遼次郎。おお、珍しく主人公らしい行動(笑)。
長屋の部屋にて、まずは茶を振舞ってもらい、ジイさんの「正体」を聞く。 聞いてびっくり、なんと、あの「柳生十兵衛」だというのだ! そして、「ヤツ」――宗崇は、彼の弟だという。 彼、十兵衛三厳が長男。柳生家の後継ぎ、主膳宗冬が次男。 そして三男が、「ヤツ」――双示郎宗崇とのこと。 すると、「ヤツ」は、もう二百年からの長きを生きていることになるが……。 ともあれ十兵衛は、鬼龍組を討つべくやって来たものではあるが、 本来「活人剣」を謳った柳生の剣が、 そんな「殺人剣」を振るうことに用いられるのは、悲しいことだ――とも言う。
「なら、なぜ『彼』を止めないのですか?」 「いやさ止めるぞ――ただし、お前たちを斃してからだがな」 「なんだって?」 「……お前らの剣は、宗崇と同じ殺人剣。ならば、儂は止めねばならぬ。 また、お前らの『殺人剣』に負けるような『活人剣』なら、 『殺人剣』の権化のような宗崇には勝てぬし――、 儂に負けるようでは、お主たちもまた、宗崇は斬れぬぞ」
つまりは、「ヤツ」を止める役として鬼龍組が、もしくは自分が、ふさわしいかどうか、 力量を試しに来た――というところなのか? しかし、その判断に己の命を懸けてしまうところが、戦国のヒトらしい……。 とはいえ、そんなことで彼を「斬る」のは、ちゅうちょしてしまう一行。
そこで、「ちょいと口をすべらせて」、 宗崇は富士に居る――と教えてくれ、さらに「活人剣」を説く十兵衛。 「――斬りたくないから斬らないのが『活人剣』ではない。 桜が桜たらんとする意思を『神氣』と呼ぶが、桜が咲くのは人のためではなく、 『神氣」に従い、桜が桜であろうとするからだ。 『敵だから』斬るのは、『殺人剣』。 真の『活人剣』とは、『神氣』……すなわち、 己が己たらんとするために振るう剣のことを言うのだ――」
「神氣」のもと、自分たちが自分たちであり続けるため、 それを個人の意思で歪めんとする宗崇を倒したいのならば――、 儂を超えて行け! ――戦闘へ。
〜鬼道で甦ったモノには、怨霊がつきまとうものらしく、結局は団体戦に〜
「活人剣」――己が己であるための剣。 その強い意思で、「ヤツ」の術の縛めにも逆らい、 あくまでも「己の意思で」、命を懸けて鬼龍組に教えることで、 それを体現してみせた十兵衛――。 その想いに、京梧も感ずるところがあったようだ。 「……俺たちは、『江戸の民を救うため』に、柳生を討つ。 ただヤツを斬るために戦っちゃならねえ――」
そう、彼らが彼らであるとはどういうことか――。 護りたいものを護るべくして始めた戦いのはずだった。 それこそが、彼ら自身が選んだ使命。それを貫いてこそ、彼らの本懐。 「ヤツが憎いから」などという理由で戦っては、本筋から外れることになる。 十兵衛は、それを忘れるなと言いたかったのか……?
竜泉寺にて一休みの一行。そこに、杏花現る。 円空上人を連れてきてくれたらしい。 そういえば、円空上人と鬼道衆は、初顔合わせだ。 と、「この事件を任してみないか」などと言い出す杏花。 「ぶるぶる」――首をあらんかぎりの力で横に振る遼次郎(笑)。
で、「闇」に乗じて犯罪者も増え、住みにくくなった江戸。仕事もあがったりだ―― などと愚痴を言う杏花に、では何故まだ江戸に居るかと問うと、 「この程度のことで負けたくないから、あたしは帰らない」 さすがはバイタリティーの塊の杏花。 また、「柊」という名の弟が郷里に居るそうで、あんまり男らしくないヤツと言うが、 今帰ると、その弟にバカにされるような気がする、というのも理由らしい。 コレ↑、ドラマCDを持っているヒトへのサービスエピソード?(笑)
ともあれ、円空の方の目的は、江戸上空の「暗雲」についての情報確認だった。 彼も、「日本最大の霊峰」富士――≪不二≫に見当をつけていたらしく、 一行の話には深く頷く。 ≪不死≫とも呼ばれるかの山こそ、日本の「崑崙」であろうと。 しかし、富士は樹海もあり、そもそも今は冬山でもあり、 この季節に登るには、はなはだ困難なことこの上ない。 が――方法はある、と円空。
≪龍穴≫――すなわち、この大地を縦横に貫く穴は、富士にも繋がっている。 というよりも、富士こそはすべての≪龍穴≫が辿りつく、≪龍の住まう処≫であり、 その≪龍穴≫が≪力≫を採り入れる、いわば「顎」に当たるところ――、 それが、この竜泉寺だという。 百合センセは、≪如来眼≫という「氣を視る」ことの出来る≪力≫を持っており、 だからこそ「ここ」に居を構え、龍閃組の面々を選んだと言うのだ――。 いきあたりばったりに見えた龍閃組の組織運営(笑)だが、 それなりに理由があったのか(爆)! それはともかく(笑)、 ≪龍穴≫はただの穴ではなく、凝縮した≪氣≫によって時間も変動する場所だから、 ココを通れば、早く到着できるだろう――と言う。 確かに、江戸から、てくてく富士まで歩いていた日には、何日かかるか。 着く前に「ヤツ」が本懐を遂げてしまいかねない。 また、前述の通り、まともに行ったら難所もいいところでもあり、 「ワープ」できるものなら、その方が有り難いものである。 ただし――それほどの≪氣≫が集う場所。 時間ばかりでなく空間も乱れ、ヘタをすれば異空間に飲み込まれかねない。
なにしろ、日本のそればかりではない≪氣≫が充満する、無尽蔵の、 ――まさに、神をも凌ぐ≪力≫……。 だが、まさに「それ」を狙っているのが「ヤツ」――宗崇なのである。 もし、「ヤツ」がもくろみに成功したら……。 と、顔色を失う一行に、 「謎は解けた。あとは、行ってぶっちめるだけだ。そうだろう?」 無造作に言いきる京梧。さらに、 「行って、柳生をぶっちめ、江戸に――鬼哭村に、『朝』を取り戻す。 これは、「誰か」のためだけにやってるんじゃねえ。 自分たちの『明日』を取り戻すための戦いだ――。 そうだろう、リョウジ――」 京梧の言葉に、力強く頷く遼次郎。
というわけで、龍穴の意外な原理と便利な機能(笑)、 そして百合センセの意外な特技(笑)が明かされたのでしたあ。 それにしても十兵衛さん。 「説得」が成功したとみたなら、無理に戦わなくてもいいじゃないですか。 手伝ってくださいよう(笑)。 やっぱり、扱う身体そのものは、年寄りのお百姓さんだから、 冬の富士登山や、濃縮≪氣≫詰めの龍穴巡りはムリと見たのか……? ヘタに同行して、操られて寝首を掻かされたりするとヤバイと考えたのか? 武蔵と同じ、久々に暴れたかっただけ……だったりして(笑)。
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