第弐拾九話「呪禁」 |
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――と、いうわけで、みんなで富士への「出発」の準備。 旅程が旅程だけに、どんなことになるやも知れぬ。 なので、「仕上げ」にと、みんな「ご挨拶回り」。 藍や小鈴は、両親や先生へ――。 だが、京梧と遼次郎は放浪の身、これといった相手はいない。 「俺は――ソバ屋にでもいくとするか」 京梧はふらふらとソバ屋へ去る。 で、遼次郎は――まあ順当だろうと、久々に百合センセのところに行くことに。 ★ さて、着いたはいいが――、 百合センセは、円空上人の結界に護られ、生死の境をさまよっているままだという。 ガーン、不意打ちのショック。 ていうか、<鬼龍組>成立の時に、京梧からちゃんと聞いてたんだっけ……。 忘れててごめんね、百合センセ! で、かわりに応対してくれた円空上人から、<円空破>なるワザを伝授されたり。
富士へ続く<龍穴>からは、猛烈な風が吹き上げて来ていた。 風水に言う<気脈>の流れによるものだと言う。 しかし、目も開けていられないその強風にもめげずに、 円空上人(と、隠れていた犬神さん(笑))に見送られて、 <鬼龍組>、出陣!
中は、延々と続く迷いの洞窟になっていた。 そこを通る人間の<氣>のあり方に影響を受ける空間――ということだったので、 誰かが、「地下の穴」ということから、洞窟というイメージを抱いたのだろう。 しかし、こんなに迷いやすい構造なのはおかしい。 一刻も早く到着したいのは、全員一致の意思のはずなのだ。 通る者の意思によって姿が変わるというのなら、 そらもうあっという間に出口が見えてもよさそうなものである。 ということは――何者かが、邪魔をしている?
――正解。 案の定、最初の<敵襲>であった。 現れたのは、いつぞや役人の地下牢にて戦った、一つ目頭巾の怪人、百鬼(なきり)。 あの時のナキリは式神だったが、今度はホンモノらしい。 が――相変わらず、マトモに戦おうとはしない。 いきなり相手が消えたかと思うと、得体の知れない屋敷の部屋に放り出される一行。 「なんだ、幻術かっ?」 「相変わらず最低な卑怯者だな」 騒ぐ一行。と――。
「そもそも、京梧がトロいから、こんな攻撃にひっかかるんじゃないか」 「なんだと小鈴。てめーこそ……」 突然、いがみあい、ののしりあいを始める鬼龍組。 それは、だんだんエスカレートして行き……、 どうやら、「互いの信頼を破壊する」というナキリの作戦らしいと理解してもなお、 自動的に「吐かされる」盟友への冒涜の言葉。
「違うの、私は、こんなことを言いたいんじゃないの…… ……そう、本音は、あんたたち馬鹿でガサツな連中とは、おさらばしたいってことね ……やめて、やめて――」 「自分の言葉」そのものに傷つき、涙する藍に向かい、遼次郎が拳を構える。 「りょ、遼次郎!? 何を…… ……私を殺したいってことかしら? しょせんあんたも人殺し―― ……違う、これは私の言葉じゃない。――遼次郎!」
炸裂する、「秘拳・黄龍!」 その威力は、驚きに硬直する藍の脇を、もちろんすり抜け――、 混乱の極みに達した鬼龍組に、 幻覚に紛れて襲いかからんとしていた、ナキリを直撃した。 「うぎゃああーーー!」 悲鳴とともに、「裏切りの幻術」は破られた。 ――戦闘へ。
〜生身のナキリは哀しいほど弱い(笑)〜
「現実」に戻った一行。 そして、雄慶の「真言」によって<禁じ>られ、動けぬナキリ。 ある意味、どんな腕力による攻撃よりも、よほどヒドい仕打ちを受けた一行は、 きわめて殺気立っていた。 が――ミジメなまでの命乞いをするのに呆れたのと、 あまりにも先を急いでいたため、ナキリは<禁じ>たまま、その場に放っていく。 とにかく、富士へ急ぐ方が先決なのだ――。
が――。 彼らが去った後、 そのナキリに近付き、助けを求める彼を無視して、 むしろ<禁じ>られた彼が動けぬのをいいことに、怪しげな「蟲術」を施し、 不気味な怪物に作りかえてしまう、残酷な蜉蝣の姿があった。 ナキリは、足止めの捨て駒に過ぎなかったわけだ。 戦いは、これから――。
〜参拾話「蟲姫」へ続く〜
――えっと、<龍穴>での戦いの細部、特にセリフとかは、全部妄想補完です。 というのも、ホントにストーリーの骨子しか、メモを取ってなかったカラ……。 そのメモをそのまま使うと、この半分くらいの文章で終わりまあす。 たださえ短いシナリオなのに(笑)。
でも、ちょっと中途半端でしたかね。 どーせノベル風に描写しちゃうなら、もっと細かく描いちゃっても。 でも、そーすると長くなるんですよね(笑)。 細部も、きちんと考えないといけなくなるし……時間が……。
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