【訳者からのメッセージ】
『チベット女性詩集 ―現代チベットを代表する7人・27選―』
ゾンシュクキ/ホワモ/チメ 他著(海老原志穂 編訳)
本書は、チベットを代表する7人の女性詩人による現代詩27篇を選び、チベット語から翻訳した日本オリジナルのアンソロジーです。チベット女性詩としてはもちろん、チベット語から日本語に翻訳された現代詩としてはおそらく初の詩集となります。
収録した作品ひとつひとつをよんでも味わい深いですが、これらの詩を「チベット女性詩の展開」という文脈の中で見ると、彼女たちがどのような制約のもとで創作を行なってきたのかがみえてきます。
1200年もの間、仏教によって色づけられてきたチベットでは、文学作品は男性(主に僧侶)の手で書かれてきました。
男性中心的な文学環境の中で、彼女たちが詩を「武器」として、どのような挑戦を行なってきたのか、テーマ別の7つのコラムを手がかりにぜひ読み解いてみてください。
漫画家・絵地図作家の蔵西氏がチベット各地で描いてきたスケッチの数々も、チベット女性詩をめぐる旅の良きおともになってくれることでしょう。
2023年 春
海老原 志穂(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所フェロー)