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番外編3 : カラマーゾフのヤギ
(2001.10.25)
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(妻・あおいの並はずれた意地きたなさに依存してここまで何とかやってきた「妻食べ」シリーズも「つわり」という予想外の事態で、「もう終わってしまうのでは」と心配する声もちらほら。でもご安心を。じきに安定期に入り、また今まで以上の実力を見せつけてくれるでしょう。それに我が家には、もう1人(1頭)、なんでも食べまくるものがおります。ヤギのモモです。)
モモを庭につないでおくと、すぐにヒモがからんで、動けなくなってしまう。ヤギは皆その傾向があるらしいが、とにかく「どうしたらこんなに」と思うくらい複雑にがんじがらめにからまりきってしまうのだ。僕とあおいはこの状態を文豪ドストエフスキーにちなんで「からまーぞふ」と呼んでいる(ちなみにヒヅメのわれめに鎖がはさまってしまうことは「はさまーぞふ」と言う)。
首にからんで死んでしまうヤギもいるらしいから、畑から帰るとまっさきにモモの状態を見に行く。
「エ・エ・エ・エ・エ・エッ」という、ちりめんビブラートの軽い声がすればいいが、「メエー!」という絶叫のような声だと大変。ほぼ「からまーぞふ」に間違いない。同時に「はさまーぞふ」の恐れもある。
僕らの顔を見て安心したモモは、まず後脚を少しかがめてオシッコをする。そして犬のようにシッポを振る。とにかく淋しがりやなのだ。この家には「彰」と「あおい」と「自分」の3人が住んでいて、あとは家畜のトリがいる、と思っているに違いない。
子供の頃、大宮の家には犬がいたが、ほとんど世話をした記憶がない。こんな自分に哺乳動物が飼えるのかという不安もあったが、ヤギは、はっきりと「かわいい」。
ヒヨコが5、6羽ズラリと背中にのっていても、落とさないようにおとなしくしているモモ。家の周りの草だけという粗食に耐え、いつも平和な顔でモグモグと反すうしているモモ。時にはあおいの本やお客のちゃんちゃんこを食べてしまうモモ。僕らの長距離の散歩に、どこまでも静かな優しい顔でテクテクとついてくるモモ。
ヤギがもっとペットとして、普及してもいいのになと思ってしまう(エサの草の確保の問題があるか)。
2人とも自分の子どものようにモモをかわいがっている。僕は、子供の頃のほったらかしだった犬たちの分までも。
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