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その1 : 「玄米きりたんぽ」の末路
(2000.6)
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食材が玄米、野菜、卵しかないので、玄米の食べ方については、あらゆる可能性を探ろうという気になる。
三食とも玄米ご飯でも、かなり奥深い味わいがあるので、基本的に飽きは来ないが、まあ、とにかく冬場はヒマなのでいろいろとチャレンジしてみたものだった。
焼きおにぎり、チャーハン、おかゆ、雑炊といった普通のパターンを脱して見ようと、生の玄米をフライパンで炒ってみると、なかなか香ばしそうな、サクサクのポップ・ライスになった。
「これで、玄米茶ができるんじゃない?」とあおいが叫び、さっそくお湯を沸かし始める。カップのお湯に玄米を投入する。
それを二人で黙って、しばらく飲んでいたが、当然のことだが何の味もしない。
「おい、玄米茶って、こういうものなのか?」僕がついに指摘する。
「えっ、ちがうの?」
あおいは平然と、お湯をすすりつつ、ふやけた米をグニョグニョと食べていた。
この炒り玄米をすり鉢ですって、粉にしてみた。
「おお、これは小麦粉の増量材として使える!」と、小麦粉と半々に水で練って、のばし、フライパンで焼いてみた。コゲ茶色のそれは、ちょうど肉片にも見え、なんとなく焼き肉の様相を呈してきた。
意味もなくゴマもふってみる。
食べてみると、クッキーのようなモチのような不思議な食感。まあ、食えなくはないといった程度。やけくそでココアを混ぜたものは少し気持ち悪かった。が、あおいはどれも「うまい、うまい、と次々食べていた。
秋田名物きりたんぽも玄米で作ってみたら、ということになった。玄米ご飯をすりこぎで半つぶしにし、割り箸にくっつけた。が、どうしても玄米は固めの炊きあがりになるので、ストーブで表面をあぶっているうちに、ハシからはがれてくる。玄米には、薄皮のようなものもあるので、くっつきが悪い。しだいにボロボロと見苦しいものになってきた。
「えーい、めんどうくさい。」とフライパンを取り出して、油をしき、ハシからはがしてジュージューと焼き始めた。
やはり、なんとなくゴマをふり、しょう油もたらしてみる。
そのお好み焼き状のものを切りながら、フーフーいって食べた。
「やっぱり、きりたんぽはうまいねえ。」とあおい。
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