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その9 : ついに肥料まで・・・
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トウモロコシの収穫作業を終え、ニンジンを抜いているあおいの方を見る。ニンジンをカゴに入れながら、なぜかムシャムシャと口を動かしている。 ―まただ。ひっこ抜いたニンジンが細かったりすると、用水路で洗ってそのままバリバリ食ってしまっているのだ。
台所でもダイコンを切りながら、よくポリポリ生で食っている。あまりにドンドン食べるので、なかなか切ったやつがたまっていかないほどだ。
山歩きをしていて、よくわからない実がなっていたりすると、まずためらわずに味見をしてしまう。食べられないものや毒のものもあるかもしれないのにおかまいなしだ。赤や紫の見だったりすると、「うまそう〜!」と叫び、次の瞬間には口に入れている。「ともかく食べてから考える」というのを信条としているようだ。それでいて、食あたりなどまったくしないのだ。
生で食べる野菜がうまいのは確かで、畑で収果しながら食べるトマトなどはもちろんだが、枝豆やトウモロコシのなども生でいけることを知った。特に早朝の生のトウモロコシの甘さは驚異的だ。
5月のある日、私たちはジャガイモの植えつけをした。ジャガイモは成育期間が短いので、有機質肥料では分解が遅く、後効きしてしまうおそれがあるのだが、化学肥料の使用は避けたい。そこで米ヌカ、ナタネカスを糖蜜とEM菌で発酵させてから使うことにした。
植えつけた種イモの間に発酵肥料を入れていく。甘酒のような芳香が漂う。
ハッとあおいの方に目をやる。―が、もうすでに時遅く、あおいの口がモグモグと動いている。
「肥料は食うなっ!」
「だって、お菓子みたいな匂いでうまそうだったんだもん。それに実際うまかったし。」
確かに有害なものは含まれていないが・・・・。人間、ここまでオチてしまっていいものだろうか。そのうちトリエサも食べかねない、と思うと、かなりコワイ。
(2000.9.24)
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