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その31 : アイスを極めろ!
2004.7.16
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「ソフトクリーム評論家」を自認するあおいは、道の駅などに名物ソフトがあると、ちょっと無理をしてでも食べるようにしている。
中でも昨年、雫石の道の駅で食べた、チーズをねりこんだソフトクリームはかなりの逸品で、「あおい・ソフト・ランキング」の首位をダントツで守りつづける栗駒フーズのソフトクリームに匹敵したかもしれない、と彼女は語った。
3人で一つを「まわしなめ」していたのだが、一口食べた春が、あまりのおいしさに、あおいに取られることを恐れて、安全な僕にソフトを手渡そうと、「とうたん・・・!」と必死に手を伸ばしてきた。が、「ダメ、次はかあちゃん!」と叫ぶあおいに取り押さえられ、春は最後の手段とばかりに、半泣きになりながら、全部を一気に自分の口につっこんだ。
「あ〜あ・・・・」と大ショックのあおい・・・。
しかし、もともと「金を払ったら負けだ」という信念のある僕たち。「いつかすごいアイスを作ってやろう」と決心した。何しろ我が家には今や新鮮なヤギ乳と自慢の卵があるのだ。
本を見ながら、アイスクリーム作りが始まった。ドキドキしつつ味見してみると、どうもシャリシャリとシャーベット的だ。どうもコクとなめらかさに欠ける。コンスターチを入れるととろみがつく、とあったが、たいして変わらなかったし、少々粉っぽくなった。
原因は明らかだった。材料に欠かせない「生クリーム」を加えていないのだ。
そういうお金のかかる材料は、見て見ないフリをするのが僕たちの常識だった。
しかし一方で、生クリームは生乳から(わずかだが)取り出すことができることも知っていた。でもそういう「おっくう」なことは、知っていても知らないフリをするのが僕たちの常識だ。
「でも、やるしかないな」と生クリーム集めが始まった。ボウルのヤギ乳を一晩おいておくと表面に純白の乳脂肪分が浮いてくる。これを穴あきオタマですくい取る。50ccもないくらい。これを3日分集めてやっとアイス液に加えた。
この生クリームは僕たちのアイスクリームに決定的な変化をもたらした。かつてなく粘りとコクが出たのだ。
そこにとどめのアイデアがもう一つ。僕らはヤギ乳にレンネット(凝乳剤)を入れて、ナチュラルチーズを作っていたのだが、そのチーズをアイスに投入してみたのだ。甘酸っぱさが加わり、グンと濃くなった。これはまさに、あの雫石のチーズソフトを彷彿させた。
「このアイスはうまいのう、いっぱいあって、春ポンにも独り占めされないし」とあおいも満足気。
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