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その34 : 両面焼きのタマゴ
2005.4.24
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我が家の朝食はタマゴと決まっている。目玉焼きのようだが、両面ともカリカリに焼いてあるやつ。必ずしょう油で食べる。通称「両面」という、このタマゴ料理が3人とも大好きで、朝「両面」がないと、あおいも春もあからさまに機嫌が悪い。春は「一番好きなものは」と聞かれると「たまご。」と答える。「両面」のことだ。養鶏家の娘としては完ぺきな回答だ。
あおいの「両面」の食べ方を観察すると、以下のようであった。
まずハシで真ん中からほぼ二つに切る。「両面」の黄身は完全に固まっているので、流れたりはしない。
その半分をご飯に乗せ、上からしょう油をかなり大量にかける。我が家のおかずは「両面」だけなので、かなり味を濃くしておかないとおかずとして弱い。大量のしょう油かけはうなずける行為だ。
そして新聞などを見ながら、何気なく食べていくのだが、白身と黄身のバランスにはちゃんと注意がはらわれていて、やや白身を先走らせていくことを忘れていない。
ご飯が終盤にさしかかる頃、残りの半分をのせて、しょう油を念入りにかける。当然の帰結として、タマゴが少し余ってしまうのだが、ここであおいは「あれっ?」というような顔をする。そして、僕にタマゴがひとかけ残った茶碗を示し、「タマゴが余っちゃったんで、このタマゴにみあうご飯をよそってほしいのですが・・・」などという。僕がひとかたまりのご飯を入れてやると、また新聞に目を落とし、何事もなかったかのように食べ進めていく。
これが毎朝、寸分の狂いもなく行われていくのだ。最近では、「あのう、タマゴが余っちゃったんで・・・」などとは言わずに、「これにみあうコメを」と言いながら、スッと茶わんを出してくる。僕は茶碗を受け取り、残っているタマゴの大きさ、しょう油の具合などを考慮して、それにみあったご飯を入れてやる。
それが今では更に進んで、新聞を読んだまま、無言で茶わんをだしてくるようになった。茶わんには当然、タマゴの食べ残しが入っている。僕が「・・・みあうコメ?」と聞くと、だまってうなずく。目は新聞に落としたままだ。
試しにご飯を少なめに入れてみると、間髪を入れずにあおいが言う。
「あ、もうちょっと・・・・」。
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